オーストラリア、シンガポールと世界初のグリーン経済協定に署名
(オーストラリア、シンガポール)
シドニー発
2022年10月27日
オーストラリア連邦政府は10月18日、シンガポールとのグリーン経済協定(GEA)に署名したと発表した。世界で初めてのグリーン分野の経済協定で、両国はGEAを通じて環境物品やサービス貿易の拡大、グリーン・トランジション・ファイナンス、クリーンエネルギーの促進を目指す。オーストラリアとシンガポールは2021年9月22日に交渉を開始していた(2021年10月13日記事参照)。
GEAでは、両国の協力を進める分野として以下の7つの重要分野で合意しており、各分野での今後の具体的な連携事項について示している。さらに、7重要分野に関連した17項目の具体的なイニシアチブを両国が今後合同で実施する予定としている。イニシアチブはGEAの付表(Annex)に別に記載し、両国の企業や消費者に利益をもたらす具体的な成果を追求するとしている。
- 貿易・投資
- 基準・適合性評価
- グリーン・トランジション・ファイナンス
- 炭素市場
- クリーンエネルギー、脱炭素化と技術
- グリーン成長のための技能と能力
- 関与とパートナーシップ
また、オーストラリア政府は、GEAの枠組みの下で今後4年間に実施する新たな2国間協力に対し、1,960万オーストラリア・ドル(約18億6,200万円、豪ドル、1豪ドル=約95円)の投資を行うことを発表した。協力の具体的な内容は、(1)環境物品やサービスの貿易と投資促進(非関税障壁の明確化と削減を含む)、(2)新しいグリーン成長分野でキャパシティービルディングを強化するためのビジネス連携の促進、(3)市場の相互運用性の改善を目指した両国の基準適合性の整合化と連携強化の3つを挙げている。
アルバニージー・オーストラリア首相は「世界初となるこの協定は、オーストラリアとシンガポール両国がクリーンエネルギーへの転換に向けた取り組みを前進させ、企業や産業を支援する枠組みとなるものだ。両国に加え、アジア・オセアニア地域のパートナーに対して温室効果ガス排出量のネットゼロに向けた世界的なエネルギー転換に関連したビジネスチャンスを支援するモデルだ」と今後の期待を述べた。
(青島春枝)
(オーストラリア、シンガポール)
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