IEA見通し、世界の化石燃料需要は2020年代半ばをピークに減少へ

(世界)

国際経済課

2022年10月28日

国際エネルギー機関(IEA)は10月27日、2022年版の「世界エネルギー見通し」(World Energy Outlook)を発表した(IEAプレスリリース10月27日外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。同報告書は、2020年代半ばに、全ての化石燃料の総需要がピークを迎えるとの分析(注)を初めて示した。燃料別にみると、石炭は数年以内に、天然ガスは2030年までに、石油は2030年代半ばに、それぞれ需要がピークを迎え、それ以降は減少に転じる。世界のエネルギー消費に占める化石燃料の割合は現在の80%から2050年までに60%に縮小する見通し。温室効果ガス(GHG)排出量は36.6ギガトン〔二酸化炭素(CO2)換算、2021年〕から2050年には32ギガトンに減少する。他方、産業革命前から(2100年まで)の世界の平均気温の上昇幅は2.5度になり、同上昇幅を1.5度以内に抑えるとのパリ協定の目標からは乖離がある。

IEAは、太陽光、風力、電気自動車(EV)、(定置用もしくは車載)電池などの開発が、もし現在の成長速度を維持できれば、想定(STEPシナリオ)を上回るスピードでエネルギー移行が実現されるとしている。しかし、エネルギー価格の高騰や不安定な価格変動によるリスク縮小のためには、大規模なエネルギー投資が必要となる。クリーンエネルギーへの投資額は(現在から)2030年までに2兆ドルを超える見通しを示す一方、2050年までの排出実質ゼロを実現するには、その2倍の4兆ドル超の投資が必要としている。

なお、同報告書は、気候変動関連政策や排出実質ゼロ目標によりエネルギー価格が上昇した、とする一部の主張は裏付けが不十分と指摘。(発電コストが下がってきた)再生可能エネルギーの導入比率の高さと(その地域の)電気料金の安さとの相関関係が認められる地域もあり、「住宅や電化暖房設備のエネルギー効率の向上が、一定の消費者に、供給面での余力を提供した」と分析している。他方で、収入の大部分をエネルギーに費やす必要がある貧困層にとってはエネルギー関連の負担が著しく増大しているとも指摘する。

IEAのファティ・ビロル事務局長は「特に、エネルギーと気候に関する地政学的な亀裂がより顕著なこの時期に、全員を(気候変動対策に)参加させることは非常に重要だ。より安全で持続可能なエネルギーシステム(の構築)は容易ではないかもしれないが、現在のエネルギー危機がその必要性を明確に示している」と述べた。

(注)既に公表や実施がされている政策に限定して推計したSTEPSシナリオ(Stated Policies Scenario)による分析。

(古川祐)

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