ウルグアイのラカジェ・ポウ大統領が訪日、貿易拡大と環境への取り組み推進を強調
(ウルグアイ、日本)
米州課
2022年10月28日
ジェトロは10月27日、「日本・ウルグアイビジネスフォーラム」を開催した。フォーラムには、ルイス・ラカジェ・ポウ大統領、アスセナ・アルベレチェ経済財務相、オマール・パガニーニ工業エネルギー鉱業相、フェルナンド・マットス農牧水産相、フランシスコ・ブスティージョ外相が出席した。また、ウルグアイの投資誘致機関であるウルグアイ21、ウルグアイ商工会議所、ウルグアイ商業サービス会議所、ウルグアイ農水協会、全国ワイン生産者協会など国内の主要な業界団体も参加した。今回のフォーラムでは、ラカジェ・ポウ大統領とアルベレチェ経済財務相が自ら演説とプレゼンテーションを行い、参加者からの質問が相次ぎ、大統領と各閣僚らが同質問に答えた。
フォーラムの冒頭、ラカジェ・ポウ大統領は、2021年に日ウルグアイ外交関係樹立100周年を迎えたことに敬意を表すとともに、ウルグアイは日本と多くの類似点があると強調した。ウルグアイでは民主主義が確立しており、ビジネス環境も十分に整備されている、と説明。同大統領はまた、ウルグアイが世界の食料供給国としてだけでなく、昨今はITのハブ拠点としての役割を担っていることも紹介した(注1)。貿易面では、さらなる輸出拡大、諸外国との貿易促進を行うと共に、環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)にも関心を示した。
続いて、アルベレチェ経済財務相は、ウルグアイの健全なマクロ経済運営と良好な投資環境について紹介した。ウルグアイは法的安定性が高く汚職の割合も低い。また、新興国61カ国を対象にしたESG(環境・社会・ガバナンス)ランキング(注2)でウルグアイは5位にランクインしている調査結果を引き合いに、同国はESGや環境対策を重視していることを強調した。
ラカジェ・ポウ大統領とアルベレチェ経済財務相は、ウルグアイが発行する環境国債、同国のクリーンエネルギー政策や通商政策について紹介した。環境国債の発行については、世界に先駆けた取り組みで、環境目標を達成する目的があり、世界銀行やIMFでの多国間の貸し付けにおいても導入できないか、ウルグアイから提案をしている旨を明らかにした。また、こうした取り組みにより、環境と製品をつなげ環境への配慮を行うことが新興国においても重要であることをあらためて強調した。クリーンエネルギーについては、脱炭素化の1つとして水素開発を重要視していることを述べ、既にドイツやスペインの企業が同国での水素開発に関心を示していることを紹介した。通商政策では、メルコスールの加盟国であるウルグアイは、自国単体で域外国との通商協定交渉は基本的にできないものの、対日本、また対諸外国との貿易や通商拡大にも関心を示した。
(注1)ウルグアイの主要輸出品目は、牛肉や大豆、乳製品など。ウルグアイ発のユニコーン企業は2社。2022年6月には、マイクロソフトがウルグアイにAI・IoT研究所の設立を発表している。
(注2)JPモルガンによる調査結果。2022年9月時点。
(辻本希世)
(ウルグアイ、日本)
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