米財務省、ロシアの軍事技術調達ネットワークに制裁

(米国、ロシア、ウクライナ、ベラルーシ)

ニューヨーク発

2022年10月20日

米国財務省は1019日、司法省と連邦捜査局(FBI)との協力の下、ロシアの軍事技術調達ネットワークを「特別指定国民(SDN)」に指定したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

SDNに指定されたのは、ロシア国民で軍事技術の調達エージェントであるユリ・ユリエビッチ・オレコフ氏と同氏の企業2社となっている。米国企業から軍事技術および機微なデュアルユース技術を調達してロシアに流していたことが理由となっている。調達した技術には、軍用機やミサイルシステム、レーダー、衛星などの軍事装備品に搭載される先端半導体およびマイクロプロセッサが含まれていた。それらを米商務省が輸出管理規則(EAR)に基づいて管理しているエンティティー・リストに掲載されている事業体にも引き渡していたとしている。財務省は今回の動きについて、1014日に行われた、対ロ制裁に加わる33カ国の代表による会議を踏まえたものとしている。それに合わせて財務省と商務省は、制裁の迂回や制裁対象への支援に対して厳しい法執行で臨んでいくとする勧告も出していた(2022年10月17日記事参照)。ワリー・アデエモ財務副長官は、「同盟・有志国の幅広い連携による前例のない制裁と輸出管理によって、ロシアはウクライナに対する非人道的な戦争に必要な重要物資・技術の確保に苦慮するようになっている」との声明を出している。

SDNに指定された対象には、在米資産の凍結や米国人(注1)との資金・物品・サービスの取引禁止という制裁が科される。また、SDNが直接または間接的に50%以上所有する事業体も当該制裁の対象となる。今回指定したSDNの詳細は財務省のウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで確認できる(注2)。

米国政府が20222月以降に発動した対ロシア・ベラルーシ制裁関連については、添付資料を参照。

(注1)米国市民、米国永住者、米国の法律に基づく、もしくは司法権が及ぶ域内に存在する法人(外国支所も含む)、もしくは米国内に存在するあらゆる個人を指す。

(注2)ウクライナ情勢に関する財務省による制裁の全容は、同省の「ウクライナ/ロシア関連制裁」のポータルサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。制裁対象に指定した個人・企業などについては、同省外国資産管理局(OFAC)のデータベース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますCountry欄のRussiaを選択し、Searchをクリックすることで確認可能。

(磯部真一)

(米国、ロシア、ウクライナ、ベラルーシ)

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