ECLAC、中南米のGDP成長率予測は2022年の3.2%から2023年は1.4%へ減速見込む

(中南米)

米州課

2022年10月25日

国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会(ECLAC)は1019日、中南米地域および中南米各国における2022年および2023年のGDP成長率予測を発表した。それによると、中南米地域全体のGDP成長率予測については、2022年は3.2%と堅調だが、2023年は1.4%に減速すると見込んでいる。

ECLACは、2022年はロシアによるウクライナ侵攻の影響が世界経済の成長に影響し、中南米地域の外需にも悪影響を及ぼし、インフレ圧力、ボラティリティ、金融コストを増大させている、と指摘している。2023年の経済成長鈍化の要因としては、世界の経済成長の減速と貿易の伸び悩み、政策金利の上昇、国際流動性の低下を挙げている。政策金利については現在、中南米では多くの国で中央銀行が利上げを続けているところ、ECLAC2023年には利上げが終了すると見込んでいる。利上げが個人消費と投資に及ぼす影響は2023年中も継続すると予測している。

また、中南米との経済的関係の深い、中国や米国におけるダイナミズムの低下も中南米経済に影響を与えるだろうと分析されている。中国の影響を受けやすい国としては、同国との貿易取引が多いチリ、ブラジル、ペルー、ウルグアイが挙げられている。米国の影響を受けやすい国・地域としては中米とメキシコが挙げられており、これらの国々は米国が最大の送金元となっているため、個人消費と対外収支の両方にマイナスの影響を与えるだろうと見込まれている。

国別でみても、域内ほぼ全ての国で2023年は経済成長の減速が見込まれている(添付資料表参照)。中南米主要国(アルゼンチン、ブラジル、チリ、コロンビア、ペルー、メキシコ)をみても、2022年は最も低い予測値がメキシコの1.9%で、コロンビアにいたっては7.7%の予測となっている一方で、2023年は12%台にとどまり、チリはマイナス0.9%と予測されている。

(佐藤輝美)

(中南米)

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