江西省、リチウム電池産業への支援策発表

(中国)

武漢発

2022年10月28日

中国の江西省政府は10月10日、「江西省におけるリチウム電池産業の向上と強化に向けた若干の政策措置外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を公布した。措置は、規模や分野などの条件を満たした関連企業に補助金などの支援を行うとしている。主な内容は以下のとおり。

  • リチウム電池産業関連のサプライチェーンの上流、中流、下流の重要段階に位置する企業を誘致する。特に、正極材や次世代負極材、動力電池などの分野の重点企業や重要プロジェクトを重点的に支援する。
  • 投資規模が10億元(約200億円、1元=約20円)以上、かつ、ハイテク技術に係る5億元以上の固定資産投資が完了し、経済的波及効果が高いリチウム電池関連の重大プロジェクトに対して、土地や電力などの使用面で重点的な支援を行う。
  • リチウム電池の中核となる材料、高性能な動力型やエネルギー貯蔵型リチウム電池を生産する企業に、1プロジェクト当たり1,000万~2,000万元の補助金を支給する。江西省の普及適用範囲に含まれる重点新材料リチウム電池企業に対して、1社当たり累計で100万元を上限に、保険料の60%以上の割合で保険料の補償を行う。
  • 中国内の証券取引所に初めて上場、もしくは再建による上場(裏口上場を含む)を行い、江西省に登録地を移転したリチウム電池企業に対して、1社につき500万元を1回限りで支給する。国外の証券取引所に初めて上場したリチウム電池企業には、実際の融資金額の2%を、500万元を上限として1回限り支給する。
  • 国内外の投資家を誘致し、50億元以上のリチウム電池産業の発展に特化したサブファンド(注)などを設立する。
  • 江西省のリチウム電池企業が欧米市場へ進出することを支援する。

中国のリチウム埋蔵量は豊富

中国のリチウム電池市場は急速に成長している。2021年の市場規模は前年比2.1倍の334ギガワット時となり、世界の60%以上を占めた。中国のリチウム電池の総生産額は6,000億元を突破している。

リチウムの埋蔵量が豊富な江西省でも同様に、リチウム電池の市場規模が急拡大している。2021年の江西省のリチウム電池の市場規模は、503億5,000万元だった上、2022年1~8月は前年同期比2.2倍の541億3,000万元を記録している。2022年全体では1,000億元を超える見通しだ(「新京報」10月12日)。

10月11日の記者会見で、江西省工業信息庁党組織構成員で同庁副庁長でもある辛清華氏は江西省のリチウム電池産業の特徴について、(1)豊富なリチウム埋蔵量、(2)整備された産業システム、(3)リチウム関連の産業クラスター、(4)一部分野での優位性、(5)発展の継続の5点を挙げた(添付資料表参照)。

(注)1つの投資信託の中に設定する複数のファンドのこと。

(楢橋広基)

(中国)

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