広東省仏山市、水素電池搭載シェアサイクルサービスの試験運用開始

(中国)

広州発

2022年10月18日

中国で水素エネルギー産業クラスター形成を目指す広東省仏山市では(2022年5月9日記事参照)、水素エネルギーのさまざまな分野への応用が進められている。10月7日付の「仏山新聞網」の報道によると、燃料電池を搭載した電動アシスト自転車のシェアリング(シェアサイクル)サービスの試験運用が10月1日から開始した。

製造と運営を手掛けるのは、上海市に本社を置く上海攀業氫能源科技。同社は燃料電池の開発・生産を行うハイテク企業で、同社発表によると、今回使用する燃料電池は金属を用いた水素貯蔵技術を採用した。水素の充填(じゅうてん)圧力が低く、安全性に優れ、水素の体積貯蔵密度が高いといった利点があるとしている。また、車両重量は約36.4キログラム、最高時速は25キロ、連続走行距離は約80キロに及ぶという。同サービスの利用料金は15分当たり1元(1元=約20.6円)で、中国で展開されている他社のシェアサイクル利用料金と同程度の価格設定だ。

試験運用は「水素バレー」を目指す水素産業集積地、かつ有名なリゾート地でもある「仙湖」で展開。同エリアは水素を動力とする清掃車や観光船も導入している。報道によると、「仙湖」周辺の仏山市南海区丹灶鎮では100社近くの水素関連企業・団体が集積し、水素の生産・貯蔵・輸送や関連設備の開発、燃料電池・システム、コア材料・部品、機械の研究開発・製造、製品検査、検査設備の開発、標準制定、人材育成の8つの領域を網羅する産業チェーンを形成している(「仏山新聞網」10月7日)。

仏山市政府は10月12日、「仏山市エネルギー発展『第14次5カ年(2021~2025年)』規画外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表し、水素エネルギー産業の発展をさらに推進する取り組みを打ち出した。具体的には、産業の基幹技術への取り組みと産業化、水素エネルギー供給システムの構築・整備に注力し、交通分野への秩序ある応用推進、エネルギー貯蔵・発電・工業分野での応用に向けた検討などを進め、ハイエンドの科学イノベーションプラットフォームの構築推進を図るとしている。

写真 燃料電池搭載の電動アシスト自転車(ジェトロ撮影)

燃料電池搭載の電動アシスト自転車(ジェトロ撮影)

(汪涵芷)

(中国)

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