過去最高のインフレで経済見通しを下方修正、2023年はマイナス成長に

(ドイツ)

ベルリン発

2022年10月04日

ドイツの主要経済研究所(注)は929日、秋季合同経済予測PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を公表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。2022年の実質GDP成長率は1.4%と、4月の春季予測(2022年5月10日記事参照)から1.3ポイント下方修正した。2023年はマイナス0.4%と、春季予測から3.5ポイントの大幅な下方修正で、マイナス成長と予測した(添付資料表参照)。

ロシア産ガス供給減少による供給懸念からエネルギー価格が高騰しており、新型コロナウイルス禍の影響による国際的なサプライチェーン混乱などによって起きていた物価上昇圧力がさらに高まっている。こうした価格上昇は消費者に転嫁されており、拡張的な金融・財政政策による物価上昇圧力も強まっている。2022年上半期には新型コロナ禍の影響の弱まりに伴うリベンジ消費で個人消費が大幅に拡大したが、消費者物価の急激な上昇が一般家計の購買力を低下させ、消費の先行きは不透明な状況だ。

エネルギー価格高騰の影響は企業にも現れている。特にエネルギー集約型産業、とりわけ化学産業はコスト削減のためガス消費量を抑制しており、大幅な減産を強いられている。また、家計の購買力低下の結果、消費関連産業も圧迫されつつある。

以上の状況を踏まえ、2022年と2023年予測は下方修正、2024年に消費者物価が落ち着いて実質GDP成長率が1.9%とプラス成長に転じるとした。

RWI経済研究所のトルステン・シュミット経済研究部長は「エネルギー価格と食品価格の高騰は2023年にさらに進む可能性が高く、購買力の大幅な低下を招いている。こうした中、低所得世帯と企業はさらなる政策的支援を求めている」とコメント。一方、「少なくとも労働市場は安定の兆しを見せている。多くの分野で人材が不足しているため、経済危機にもかかわらず、失業率は上昇しないと予想される」と指摘している。

秋季予測を受け、ドイツ産業連盟(BDI)は同日、「ドイツ経済は深刻な長期不況の始まりにある」とし、「エネルギー価格の高騰と不規則な変動で、工業生産はますます予測不可能になっている。2023年のGDP成長率マイナス0.4%との予測は、景気後退の影響と期間を過小評価した可能性が高い」として、今後のより深刻な景気後退の可能性への懸念を表明した。

インフレ率は戦後のドイツ建国以来最も高い水準へ、9月は2桁台に

秋季予測では、2022年の年平均インフレ率を8.4%と予測、1970年代と1980年代初頭の高インフレ期をも上回り、1949年のドイツ連邦共和国の建国以来最も高い水準になるとした。2023年はさらにインフレ率が上昇し、年平均8.8%と予測。2024年は再び落ち着きを取り戻し、欧州中央銀行(ECB)の目標値2%をわずかに上回る程度になると予測した。

連邦統計局は929日、9月の消費者物価指数(CPI、速報値)前年同月比10.0%上昇と発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。直近でも67.6%、77.5%、87.9%と高水準で推移、ついに2桁台に突入した。

(注)主要経済研究所とは、ifo経済研究所、ドイツ経済研究所(DIW)、ハレ経済研究所(IWH)、キール世界経済研究所(IfW)、RWI経済研究所。

(日原正視)

(ドイツ)

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