香港が粤港澳大湾区の融合推進、深センとの連携でハイテク産業の集積化も狙う

(香港、マカオ、中国)

香港発

2022年10月18日

「広東・香港・マカオグレーターベイエリア(粤港澳大湾区)会議2022」が10月6日、英字日刊紙「チャイナ・デーリー」と香港再出発大連盟(注)の共催で、リアルとオンラインのハイブリット形式で開催された。「チャイナ・デーリー」香港版は、香港が中国に返還された1997年に創刊して2022年で25周年となり、それを記念する式典も同時に開催された。

同イベントでは「ベイエリアの融合で、ともに新しい章を刻む」をテーマに掲げ、香港とマカオ、広東省のイノベーションとテクノロジー(I&T)の促進や、金融市場の相互連携、文化遺産の保護の3つの議題について、パネルディスカッション形式で議論を展開した。イベントには香港や中国本土に加え、海外からも政府関係者、ビジネスリーダー、専門家ら400人以上が参加した。

基調講演には、李家超(ジョン・リー)行政長官がオンラインで登壇した。李長官は、2022年7月1日に開かれた香港の中国返還25年の記念式典での習近平国家主席の演説を引用。中国政府が進める第14次5カ年(2021~2025年)規画や、ベイエリア構想などに香港が積極的に参画することについて、中国政府から全面的な支援を得ているとあらためて表明した。李長官は、香港はベイエリアの中核都市として、ビジネス環境や国際金融・貿易センターとしての強みを生かし、他都市と連携して大湾区の発展に大きく貢献すると述べた。

金融については、香港は世界最大のオフショア人民元市場であることから、中国本土と海外投資家を結びつけるゲートウエーとしての役割を強調した。

I&Tについては、「深セン・香港科技イノベーション・テクノロジー協力区」の発展に向け、深セン市と香港北部の境界近くに建設中の「新田科技城(San Tin Technopole)」への高度人材の誘致やハイテク産業の集積化を深セン市とともに進めると公表した。

(注)2020年5月に香港の初代行政長官で中国の全国政治協商会議副主席の董建華氏と梁振英氏の2人が立ち上げた非政府組織。「一国二制度」の堅持により、香港が発展の活路を見いだすことができるとして、香港の団結を掲げる。

(松浦広子)

(香港、マカオ、中国)

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