食のイノベーションに挑むスタートアップ大会「Big Idea Food Competition」の日本予選開催

(日本)

イノベーション促進課

2022年10月13日

フードテックのスタートアップによるピッチコンテスト「Big Idea Food Competition」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの日本予選が、米国のベンチャー・キャピタル(VC)Big Idea Ventures外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます主催で、10月5日にオンライン開催された。同コンテストは2022年度、アジア大会として日本を含むアジア6カ国で予選大会が開催され、各予選の優勝者によって決勝大会が行われる。日本予選には、代替タンパク質の食品開発に取り組む計4社の日系スタートアップが出場した。

4社は、さまざまな素材に混ぜて使うことができるコンニャクペーストのNinjaPasteを開発するSydecas外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、厳選した米国産のオーツ麦を用い、日本でオーツミルクの販売拡大を狙うMisola、大半が廃棄されるおからをアップサイクルし、低糖質で腸に優しい食品開発を行うオカラテクノロジズ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、栄養価の高い大豆を用い、食用肉の代わりに手軽にさまざまな料理に合わせることのできる大豆フレークSoycle外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを開発する「上向き外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」だ。

食という身近な題材用い、環境に優しい社会作りに貢献

コンテストの結果、優勝者は「上向き」となった。代表取締役の白坂大作氏は自身の体験を踏まえ、子供たちに明るい未来を作りたいという思いで、環境に優しい社会作りに貢献しやすいフードテックスタートアップを創業した。同社は、環境負荷の少ない代替タンパク質を手軽に食卓に取り入れることができる大豆フレークを開発し、他社製品やサービスとも掛け合わせて環境に優しい食のライフスタイルを社会に広めるサービスを展開している。

コンテストの審査員は製品のマーケティングの難しさも指摘したが、同社は「環境問題は団体戦」をコンセプトに掲げ、他社製品と掛け合わせ、サブスクリプションにより多くのユーザを巻き込みたいとの考えをアピールした。また、海外展開に関してもカーボンフットプリントの観点から、日本からの輸送ではなく、現地調達や現地生産により、海外で生産拠点を構えて同社製品を訴求させていきたいという狙いを打ち出した。

画像 「上向き」が開発する大豆フレーク(ジェトロ撮影)

「上向き」が開発する大豆フレーク(ジェトロ撮影)

フードテック革命を後押しする日系企業・団体の取り組み

今回のコンテストでは、パートナーとしてジェトロ、百貨店経営をしているマルイ、日本でのフードイノベーションを促進するシグマクシス・ホールディングス、総合商社の伊藤忠商事がそれぞれ参画し、出場スタートアップに対する審査を行うとともに、フードテックを後押しする取り組みについて講演した。マルイは自社デパートで各種フードテックスタートアップの販売イベントを行った実績を紹介した。今回の大会で優勝した「上向き」もマルイ主催のイベントに参加しており、環境に優しい社会作りに貢献する商品の販売に力を入れている。

画像 マルイによるフードテックスタートアップ製品の販売イベントの紹介(ジェトロ撮影)

マルイによるフードテックスタートアップ製品の販売イベントの紹介(ジェトロ撮影)

また、ジェトロは、プレゼンターを務め、過去に行った日系フードテックスタートアップの海外でのプロダクト・マーケット・フィット(注)調査支援の例を基に、既に多くの競合が存在するフードテックの海外市場で自社製品を展開するポイントを紹介した。

コンテストでは、審査員がフードテックの海外展開の難しさも指摘した。ジェトロでは今後も、同大会に出場したスタートアップ4社を含め、日本のフードテックスタートアップの海外展開を加速させるための支援を実施していく。

(注)プロダクト・マーケット・フィット(PMF)とは、自社商品(プロダクト)がターゲットとする市場や顧客(マーケット)に適合(フィット)、つまり、満足して利用されている状態を指す用語。優れた商品を持っていても、PMF調査をせず、適切な市場へ提供できなければ、ビジネスは成立しない。

(加賀悠介)

(日本)

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