日本の医薬品・医療機器産業の誘致推進

(インドネシア、日本)

ジャカルタ発

2022年10月13日

在大阪インドネシア総領事館と在日インドネシア大使館、同国の投資省と商業省は106日、大阪で「日本・インドネシア医薬品・医療機器ビジネスフォーラム」を開催した。インドネシアの医薬品・医療機器を取り巻く現状や、投資インセンティブに関する説明の後、来日した同国の製薬・医療機器企業9社と日本企業とのビジネスマッチングを実施した。同フォーラム中に、インドネシア医薬品業者連合(GPFI)と日本製薬団体連合会(FPMAJ)との間で協力へのコミットメント、特に共同生産と研究探索での連絡先の共有に関する合意文書への調印を行った。

開会スピーチでヘリ・アフマディ駐日インドネシア大使は「このビジネスフォーラムは、在日インドネシア代表の積極的な取り組みの1つとして開始されたもので、(2022年の)G20議長国インドネシアの国際保健の柱に関する協力の具体的な実現を支援するもの」と位置づけを説明した。その上で「インドネシアの製薬業界は、2021年に101億ドルの市場価値を持つ非常に潜在的なセクターで、さまざまな投資インセンティブを通じてビジネス展開をサポートする準備がある」と、日本企業による投資への期待を述べた。

写真 インドネシア医薬品業者連合(GPFI)と日本製薬団体連合会(FPMAJ)の合意文書調印式の様子(ジェトロ撮影)

インドネシア医薬品業者連合(GPFI)と日本製薬団体連合会(FPMAJ)の合意文書調印式の様子(ジェトロ撮影)

2022年中に35%の輸入代替、製造・開発拠点の誘致に注力

フォーラムでは、具体的なインドネシアの政策や投資優遇措置について、インドネシア食品医薬品監督庁(BPOM)のペニー・K・ルキト長官らが具体的な説明を行った。

説明の主なポイントは以下のとおり。

  1. インドネシアの医療機器市場は現在、最も小さい市場の1つ(市場シェア0.4%)だが、CAGR(年平均成長率)12%と大きく成長している分野であり、この成長は、将来的なインドネシアの医療機器市場の大きさを約束するものだ。
  2. インドネシアは医薬品と医療機器産業の成長を奨励している。国産品の使用を増やし、貿易赤字を削減することを念頭に、2022 年までに35%の輸入代替を達成するためのプログラムを実施している。
  3. 最先端産業に属する新規投資・拡張に対し、投資額に基づいて計算する法人所得税(PPh)の減額措置などを付与。加えて、最先端技術に関する研究開発活動や職業教育プログラムに対し、所得税額の最大300%までの減免措置を付与する。

インドネシア政府が医薬品や医療機器産業に力を入れる背景には、医薬品原材料の世界的な生産国の中国やインドなどとの対峙(たいじ)を念頭に、国際的な競争力を確保したい考えがあるとみられる。今回のフォーラムは、日本のビジネスへの期待の表れと同時に、日本からの輸出のみならず、インドネシア国内の医薬品業界の成長に資する活動など、より市場に寄り添った対応が求められている点に留意が必要だ。

(中村一平)

(インドネシア、日本)

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