チリ中銀、政策金利を10.75%に引き上げ

(チリ)

サンティアゴ発

2022年09月12日

チリ中央銀行は、9月6日に行われた金融政策決定会合で、政策金利を10.75%に引き上げることを決定した。上げ幅は前回会合より0.25ポイント高い1.00ポイントで、10会合連続の利上げとなった(添付資料図1参照)。政策金利が10%を超えたのは1998年11月以来。

7月13日に行われた金融政策決定会合では全会一致で利上げを決定していたものの(2022年7月20日記事参照)、今回の会合ではロサンナ・コスタ総裁を含む3人が1.00ポイントの利上げを支持し、他の2人はそれぞれ0.75ポイント、1.25ポイントの利上げを支持していた。

チリ統計局(INE)の9月8日付の発表によると、8月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前月比1.2%、前年同月比では14.1%(添付資料図2参照)。引き続き、燃料や食品価格の上昇が家計を圧迫し続けている。投資や消費は減少傾向にあり、失業率に変化はないものの、雇用機会が失われ、労働市場は失速しているとみられる。一方で、7月中旬に1ドル=1,000ペソ超となる過去最安値を記録した現地通貨チリ・ペソは、その後の中銀の為替介入によって9月8日時点で1ドル=886.34ペソまで値を戻している。

中銀は今後の見通しにつき、世界的なインフレが続き、世界経済の成長見通しが悪化しているため、新興国を中心に経済状況は不安定な状態が続く、としている。ただし、マクロ経済の行方と、インフレの収束状況次第という前置きの下で、政策金利の引き上げ幅を最大値とする可能性も示唆している。9月7日に発表された政策金利報告書では、2022年のCPI上昇率平均を11.4%と予想しており、2024年までには、インフレの目標値である年率3%近くまで落ち着くと推定されている。次回の金融政策決定会合は10月中旬ごろに開催される予定。

(岡戸美澪)

(チリ)

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