英政府、規制の免除対象を拡大、中規模企業などの負担緩和へ

(英国)

ロンドン発

2022年10月07日

英国政府は10月2日、より多くの企業を報告義務などの規制免除の対象とすることを発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。現在、一部の規制については従業員50人未満の小規模企業者に対して適用が免除されている。今回の変更では、その免除を500人未満の企業へと対象を拡大する。これにより、煩雑な事務手続きを軽減し、企業の成長を促すとしている。

政府によれば、従業員数50人以上249人以下の中規模企業は規制対応に月平均で22人日(注1)以上を費やし、その半数以上が規制対応を経営負担とみなしている。政府は、今回の見直しで約4万社が将来の規制対応から免除されることになるとした。

政府は、今回の免除対象の拡大は10月3日からで、検討中の規制、現在および今後見直しが行われる規制に適用されるとした。すなわち、今後発布もしくは更新される規制においては、規制ごとの免除対象が従業員数500人未満の企業となるとみられる。

政府は、今回の免除対象の従業員数500人未満の企業への拡大による影響を把握後に、免除対象をさらに同1,000人未満の企業へ拡大する可能性についても検討するとしている。

タイムズ紙(10月3日)によれば、英国の560万社の企業のうち、99.9%が中小企業に分類され、従業員250人以上の大企業は7,655社。2021年の大企業の従業員数は約1,060万人、中堅企業の従業員数は約300万人となっている。

一方、一部の業界団体からは、従業員250人未満の中小企業がすでにコーポレートガバナンスや報告義務の一部の免除対象となっていることを踏まえ、最も影響を受けるのは従業員数250人以上500人以下(注2)のわずか4,000社だとして、免除対象の拡大について懐疑的な声も聞かれている(「タイムズ」紙10月3日)。

(注1)「人日」とは作業量の単位で、投入する人員数に日数を乗じたもの。

(注2)タイムズ記載のとおり。正しくは「500人未満」だとみられる。

(島村英莉)

(英国)

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