クリティカルメタルの国内調達強化に向け5件の事業を選定

(フランス)

パリ発

2022年10月31日

フランス経済・財務・産業およびデジタル主権省は10月24日、クリティカルメタル(注)の国内での生産・精錬・リサイクル事業を支援する補助金制度について、公募により選定した5件の民間投資プロジェクトを公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。補助金の支給額は合わせて9,400万ユーロとなる。

ブリュノ・ル・メール経済・財務・産業およびデジタル主権相は、リチウムの国内生産および電子機器や車載用電池に含まれるレアメタルのリサイクル事業を支援することで、フランスの産業主権、特にクリティカルメタルの調達に関わるレジリエンスを強化すると述べた。

政府は未来投資計画「フランス2030」の中で、クリティカルメタルの国内調達強化に向け総額10億ユーロの予算を充てており、2024年1月まで継続してプロジェクトの公募外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを実施する。

今回選定された5社は以下のとおり。

  • 工業用ミネラル大手イメリスによるリチウム採掘事業:同社がオーベルニュ・ローヌ・アルプ地域圏アリエ県のエシャンシエール市に保有する鉱山で水酸化リチウムを年間3万4,000トン採掘する(2022年10月26日記事参照)。
  • ビリディアン・リチウムPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)による水酸化リチウム製造事業:グランテスト地域圏バ・ラン県のロテルブール市に国内初となる水酸化リチウム工場を建設する。2025年に生産を開始し、2030年までに年間生産量を2万5,000トンから10万トンに拡大する。
  • 合金鉄大手エラメット外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによるリチウムイオン電池のリサイクル事業:使用済みリチウムイオン電池からニッケル、コバルト、リチウムなどを回収し再資源化する工程の技術開発を行い、EUのバッテリー規制(2020年12月14日記事参照)に対応したリサイクルサービスを2025年に事業化する。
  • サヌクラによる電子廃棄物の金属リサイクル事業:グランテスト地域圏アルデンヌ県のドンシェリー市に、電子廃棄物に含まれる全ての金属を回収し再資源化する環境低負荷型施設を建設する。
  • ウィーサイクリングによる電子廃棄物の金属リサイクル事業:ノルマンディー地域圏セーヌ・マリティーム県にあるリサイクル施設で、エネルギーの自給自足を目指しつつ、電子廃棄物から回収して再資源化するクリティカルメタルの量を10倍に拡大する。

(注)リチウム、ニッケル、コバルト、タンタル、銅など。

(山崎あき)

(フランス)

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