印日物流事業者交流会が開催、協力可能性を協議

(インド、日本)

アジア大洋州課

2022年10月21日

在日インド大使館は1017日、経済産業省、国際協力銀行、ジェトロの協力で「印日物流事業者交流会」を開催した。インド商工省から、国内取引促進局次長としてインド国内のロジスティクスを担当するS.K.アヒルワール博士が来日したことに合わせて、日本の物流企業など約30社を集めて実施された。新型コロナ禍が落ち着いたタイミングでのリアル開催となり、会場は大いににぎわった。

写真 会場風景(ジェトロ撮影)

会場風景(ジェトロ撮影)

マヤンク・ジョシ首席公使の開会あいさつでは、「インドは、今後5年以内に物流コストをGDP13%から8%に削減し、約40%の物流コスト削減を目指す。物流産業の成長が、インドを5兆ドルの経済規模に向上させる主要因となる」と述べ、今後、国をあげて物流へ注力することが表明された。これを受けて、アヒルワール博士の講演では、「PM Gati Shakti計画」(注)に沿って917日に発表されたインドの新しい物流政策について解説し、「インドには153カ所の空港、224カ所の港湾、総延長620万キロの道路網、同じく126,000キロの鉄道網、総面積3,100万平方メートルの倉庫など、大規模なインフラがある。今後はこれらを管轄する16の省庁の機能を統合し、マルチモーダルコネクティビティ(多様な連続性)を持たせる計画だ」と述べた。

ジェトロから登壇した仲條一哉理事は、20222月にジェトロが行った「インドにおける物流実態調査PDFファイル(15.9MB)」の結果を引用し、「インドにおける物流は全輸送量に占めるトラック輸送の割合が相対的に高く、そのために積み荷の載せ替えも頻発するなど効率が悪く高コスト構造。アヒルワール博士から説明のあったマルチモーダルコネクティビティを推進し、貨物専用鉄道建設計画の早期完了を期待する」と述べた。さらに、今後インドが工業製品の輸出を伸ばしていく上で、港湾を起点とした産業開発の必要性を訴えた。

質疑応答においても、参加した物流関係企業などから具体的なインドの物流政策などについて多くの質問が寄せられ、最後の懇親の場でもアヒルワール博士が話す周囲には常に輪ができるなど、今後のインドにおける物流への期待の高さが感じられた。

(注)PMPrime Minister(首相)、GatiShaktiはヒンディー語でそれぞれスピード、パワーを意味し、首相のトップダウンにより速く力強く、省庁の垣根を越えてインフラを改善する政策。

(河野将史)

(インド、日本)

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