政府が製造業重点の外資支援方針を発表、経営層などの入境を容易に
(中国)
北京発
2022年10月26日
中国の国家発展改革委員会など6部門は10月25日、「『製造業を重点とする外資の投資増加、既存投資の安定、投資の質の向上促進に関する若干の政策措置』に関する通知」(発改外〔2022〕1586号)を発表した(文書は10月13日付)。
外資系企業の投資拡大や安定を通じ、製造業の質の高い発展やグローバルサプライチェーンへの関与強化を目指す。
通知では、外資参入に関する2021年版ネガティブリスト(2022年4月7日記事参照)を着実に実施し、リストにない分野では中国企業と外資系企業を平等に扱うとした。リスト以外の投資を制限するような措置も引き続き整理するとしている。
また、国の支援策や資格の許認可、知的財産権保護、標準策定、入札、政府調達などで中国企業と外資系企業の平等な待遇を確実にするとしている。その他、重要外資プロジェクトについては、土地使用や環境保護規制、物流、従業員の出入境などで問題解決のための支援を強化する。
ビジネス関連の人員往来に関しては、新型コロナウイルス感染予防を確実に行った上で、多国籍企業などの経営層や技術者、その家族の出入境の利便性向上を進める。また、各地方は往来のための「ファストトラック」を活用し、利用の基準や手続きを明確にすべきとした。
投資分野について、先端製造業・ハイテク分野ではハイレベル設備、基礎部品、コア部品、現代サービス業(注)では研究開発・設計、現代物流、省エネ・環境保護分野では新エネルギー、グリーン・低炭素に関する技術イノベーションなどへの投資を奨励する。中西部と東北部での基礎製造や、適正技術、日常消費に関する分野には政策的支援を与える。
また、中国内での産業移転推進に向け、多国籍企業の地方視察を組織し、中西部と東北部への移転を促す。その他、利益の再投資に対する企業所得税免税の推進などを挙げている。
10月25日付の「人民日報」でも、全国人民代表大会(議会)の外資系企業に対する調査の結果として、ネガティブリストが不完全なことや中国企業との待遇の違いなどが問題とし、ビジネス環境整備の必要性を訴えている。
ネガティブリスト以外の制限措置撤廃や、政府調達での平等な扱い、出入境の利便性向上、「ファストトラック」の運用手続きの明確化・合理化などは、中国日本商会の「中国経済と日本企業2022年白書」(2022年8月1日記事参照)でも改善要望をしている。
(注)情報通信・ソフトウエア・情報技術、金融、不動産、ビジネスサービス、教育など。
(河野円洋)
(中国)
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