鴻海、EV 2車種とソフトウエアプラットフォーム立ち上げを発表

(台湾)

中国北アジア課

2022年10月24日

電子機器受託生産(EMS)で世界最大手の台湾の鴻海精密工業は10月18日、台北市で開催した技術説明会「鴻海科技日(Hon Hai Tech Day)」で、同社が開発した電気自動車(EV)の新しいモデルを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。新しいモデルはクロスオーバーのモデルBと、全地形対応型の電動ピックアップトラックのモデルVの2種。モデルBは電動のスポーツ用多目的車(SUV)モデルC(注)のプラットフォームをベースとしつつ、サイズや車体デザインを一新したもので、航続距離は450キロ。モデルVは同社とMIHプラットフォーム(注)加盟企業の垂直統合によって生み出したもの。5人乗りで最大積載量1トン、牽引重量は3トン。台湾で自主開発した初のピックアップトラックになるという。

また、同社はソフトウエアプラットフォーム「HHEV.OS」も発表した。「HHEV.OS」によって、ソフトウエア開発の簡素化と時間短縮を図り、EV産業への参入障壁を低くすることが狙い。「HHEV.OS」をMIHのソフトウエア開発プラットフォームの標準規格とするよう、MIHに申請予定だという。

このほか、同説明会では、2023年下半期に消費者向けの納車が予定されているモデルCの量産モデルや、電動パワーステアリングシステム(EPS)、個体電池、半導体などEVサプライチェーンの中核部品も展示された。

同社の劉揚偉董事長は「これまで当社はパソコンやスマートフォンを製造してきたが、今後はEVも製造したい」と表明。その上で劉董事長は「EV産業で、受託設計製造サービスの初志であるCDMS(デザインと製造の受託サービス)を堅持する。今後10年で鴻海は自動車分野のCDMSを再定義し、垂直統合した技術とサービスの推進を継続する。われわれの目標は、自動車工場で必要となる高度な技術やサービスを垂直統合し、グローバルサプライチェーンの管理能力を提供することで、競争力強化につなげることだ」と述べた。

同社創業者の郭台銘氏は、鴻海はEV分野で急速に発展をとげているとし、「将来、鴻海はEV産業を再定義し、ドライバーに安全かつ快適な輸送ツールを提供する」と述べた。

(注)モデルCは、EV向けのハードウエア、ソフトウエアのオープンプラットフォームのMIH(Mobility In Harmony)で初めて作ったEV。MIHは2020年10月に鴻海精密工業の主導で立ち上げたEV向けのハードウエアとソフトウエアのオープンプラットフォーム。開発者がMIH上でEVに関連するキー技術やツールにアクセスできるようにすることで、EV産業の参入障壁を排除し、多くの企業の参入を奨励、産業全体の発展を狙う。

(柏瀬あすか)

(台湾)

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