米石油協会、天然ガスから製造の水素がGHGを大幅削減可能との調査結果を発表

(米国、英国、フランス)

ヒューストン発

2022年10月20日

米国石油協会(API)は10月12日、天然ガスから製造される水素が、米国で大幅な温室効果ガス(GHG)排出削減を実現するとの調査結果を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

発表によると、二酸化炭素(CO2)を回収した天然ガスならびに電気および他のエネルギー源から製造した水素は、GHG排出削減量1トン当たりに基づく水素インセンティブを一律に提供した場合、2050年までに年平均で1億8,000万トンのGHG排出を削減し、2050年までに累計で4,500億ドル以上を節約できるとの結果が示された。またAPIによると、天然ガス、電力、その他のエネルギー源から水素を製造するための一律なインセンティブは、2050年までにクリーン水素を5,000万トン製造するとする、米国エネルギー省(DOE)の目標達成のために不可欠という。

本調査では、GHG 排出量の大幅な削減に貢献する水素の潜在能力を発揮させるためには、水素貯蔵、パイプライン、地域配送システムなどの重要な水素インフラが必要としている。水素インフラへの設備投資は、2050年までに4,000億ドルを超える可能性があることも指摘している。

APIの企業政策担当バイスプレジデントのアーロン・パディッラ氏は「われわれの業界は、低炭素水素のような革新的技術の推進に取り組んでおり、これは経済全体のGHG排出量を削減するために極めて重要だ」「政策立案者と協力してあらゆる形態の低炭素水素にインセンティブを与え、超党派のインフラ投資計画法のプログラムを通じて水素製造を促進することで、米国の消費者が必要とする信頼できるエネルギーへのアクセスを確保しながら、GHG排出量を削減することができる」と述べた。

APIは、脱炭素化の取り組みを進めており、9月に海洋開発企業委員会(OOC、注)とともに洋上風力発電の規格と指針を策定する覚書に調印したと発表している(2022年9月22日記事参照)。

(注)Offshore Operators Committee外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの略。上流企業と呼ばれるシェブロン(米国)、BP(英国)、トタルエナジーズ(フランス)など、世界中の海洋石油・天然ガスの探査・開発・生産を担う企業や、これら企業に製品・サービスを提供する企業などから成る海洋石油・ガス開発に関する技術コンソーシアム。1948年設立。

(沖本憲司)

(米国、英国、フランス)

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