マスク氏、米ツイッター社の買収手続き完了

(米国)

サンフランシスコ発

2022年10月31日

米国の電気自動車(EV)メーカー、テスラの最高経営責任者(CEO)などを務めるイーロン・マスク氏は10月27日、ツイッター社の買収手続きを完了した。メディア各社が一斉に報じた。マスク氏は買収手続き完了に伴い、ツイッター社のアラグ・パグラワル最高経営責任者(CEO)やネッド・シーガル最高財務責任者(CFO)らを解雇した(アクシオス10月27日)。

マスク氏は2022年4月に440億ドルでツイッター社買収に合意した後、同社がmDAU(収益につながる1日当たりのアクティブユーザー数)に関するデータを開示しないことなどを理由に、7月に買収撤回を発表し(2022年7月12日記事参照)、同社から提訴されていた。マスク氏は同社と裁判で戦うこともいとわないかにみえたが、10月に裁判回避を目的に、買収を再度提案し、デラウェア州衡平裁判所が買収期限を10月28日と定めていた(2022年10月7日記事参照)。

マスク氏は27日の買収完了の前に、自身のツイッターアカウントで「ツイッターを買収する理由は、文明の未来にとって、幅広い信条を健全に暴力に訴えることなく議論されるデジタル広場を持つことが重要だからだ。ソーシャルメディアは現在、(人々を)極右と極左のエコーチェンバーに分裂させ、憎悪をより生み出し、社会を分断させるという大きな危険をはらんでいる」と述べ、ツイッターにおける言論の自由を重視する一方、「とはいえ、ツイッターが、何を言っても責任を取らなくて良いという自由奔放な地獄絵図になることは当然あり得ない」と、あくまでルールはあることを示唆した。

(田中三保子)

(米国)

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