三井物産、デンマークのマースク子会社や米船級協会と船舶向けメタノール燃料供給事業で提携

(米国、日本、デンマーク、シンガポール)

ヒューストン発

2022年10月13日

三井物産は10月4日、デンマーク海運大手APモラー・マースクの子会社マースク・オイル・トレーディング(MOT)と、米国の船級協会アメリカン・ビューロー・オブ・シッピング(ABS)、三井物産の子会社の三井・エナジー・トレーディング・シンガポール(METS)とともに、シンガポール港で船舶向けメタノール燃料の供給事業の共同検討を行うことに合意したと発表した。

発表によると、この供給事業では、シンガポールでのメタノール燃料の供給体制整備に向け、船舶の仕様や燃料供給作業、タンク貯蔵、関連規制などの詳細調査を行い、2023年にShip to Ship方式(注)によるメタノール燃料の供給を目指す。

海運業界では、再生可能エネルギー由来やバイオ由来の低炭素メタノールを船舶用燃料として活用することで、温室効果ガス(GHG)削減が期待されている。三井物産はこの事業を通じて、世界最大の船舶用燃料供給ハブ港のシンガポールで国際安全基準に沿った燃料供給実績を作ることで、環境に優しい船舶用メタノール燃料供給体制構築を目指す考えだ。

三井物産の米谷佳夫代表取締役副社長執行役員は「この事業は船舶への代替燃料給油のためのプラットフォーム構築を目的としており、海上の脱炭素化につながるものだ。当社は同事業や他のGHG削減の取り組みを通じて、今後もカーボンニュートラル社会の実現に貢献していく」と述べている。

三井物産はグループ全体で米国での脱炭素化にも取り組んでおり、5月に石油ガス分野の脱炭素化と余剰エネルギー有効活用を促進するため、米国クルーソー・エナジー・システムズの持ち株会社への第三者割当増資を発表し(2022年6月3日記事参照)、7月には米CFインダストリーズとクリーンアンモニア開発での提携を発表した(2022年8月2日記事参照)。9月には三井石油開発が米シェブロンと地熱開発技術での提携を発表している(2022年9月29日記事参照)。

(注)洋上で燃料供給船を横づけして、船から船に燃料供給を行うこと。

(沖本憲司)

(米国、日本、デンマーク、シンガポール)

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