高品質化により緑豆の輸出拡大を目指す、ユーグレナの取り組み

(バングラデシュ)

ダッカ発

2022年10月25日

ユーグレナをはじめとする微細藻類などの研究開発・生産などを行う株式会社ユーグレナ(本社:東京)は、同社とグラミングループの合弁会社であるグラミンユーグレナ(euglena GG Ltd.、本社:ダッカ)を通して、バングラデシュで緑豆(りょくとう)を生産し、国内での販売を行うとともに、もやしの原料としての緑豆を日本へ輸出する「緑豆プロジェクト」を行っている。今回、ユーグレナ執行役員の諸澤慎二氏に話を聞いた(10月6日)。

(問)事業の概要・状況は。

(答)毎年、緑豆の栽培を行う農家を募集し、各農家が生産した緑豆をグラミンユーグレナが、市場価格よりも高く買い取る。そのうち、大粒の緑豆をもやしの原料として日本に輸出し、小粒の緑豆を(現地でカレーなどの具材として利用される)ダールにしてバングラデシュ国内の市場に出荷している。このビジネスモデルにより、農家の所得向上、雇用機会の創出、緑豆の生産技術・ノウハウの普及を実現することが可能となる。2019年からは国連世界食糧計画(WFP)と連携し、国内に出荷する緑豆のうちの一部をロヒンギャ避難民に提供している。

今年度は、6,500ヘクタールの農地で生産された1,200トンの緑豆を農家から購入し、出荷に向けた作業を行っている状況にある。

(問)事業における課題は。

(答)最大の課題は、現地スタッフの育成。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、昨年度までは従来のように日本からスタッフが現場に赴き、現場で管理を行うことができなかった。その結果、緑豆の品質は低下し、輸出量は激減した。今後も現地で事業を継続・拡大していくためには、現地スタッフだけで品質を維持できる体制を構築することが必須であるため、新たな人材を確保するとともに、現地人材の育成も行っていく予定だ。

(問)新たな取り組みは。

(答)今年度から開始する取り組みが2つある。

1つ目が色彩選別、機械乾燥の工程の導入だ。バングラデシュ産の緑豆は、日本で8割以上のシェアを誇る中国産の緑豆と比較し、3割程度価格が低いものの、バングラデシュの多湿な気候のため品質面でやや見劣りする傾向があった。そこで、新たに、色染みのある豆を高精度で除去するための色彩選別、および機械乾燥の工程を導入することで品質の向上を目指す。また、機械乾燥を導入することで、顧客であるもやしメーカーのニーズに沿った乾燥度合いの製品を提供できるようにするという狙いもある。

2つ目は、WFPと連携し、南東部コックスバザールにあるロヒンギャ避難民の居住地域で新たに緑豆の加工作業を行うことだ。今年、グラミンユーグレナはWFPと2回目となる事業連携に関する契約を締結し、今回はこれまで行ってきた食料支援に加えて、ロヒンギャ避難民の流入により生計難に陥った、難民キャンプ周辺地域に住むバングラデシュ住民(注)の雇用機会の創出を目指す。

写真 選別工場の様子(ジェトロ撮影)

選別工場の様子(ジェトロ撮影)

(注)ロヒンギャ避難民の流入により、同地域において、賃金水準の低下、観光業への悪影響、生活コストの上昇などの問題が生じ、生計難に陥るバングラデシュ住民が発生している。

(薄木裕也)

(バングラデシュ)

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