世界各国で中国に対する印象悪化、習政権下で顕著、米シンクタンク調査

(米国、中国、韓国、日本)

米州課

2022年10月04日

米国シンクタンクのピュー・リサーチ・センターは928日、習近平政権下の中国に対する世界各国の印象について調査した結果を公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

この調査によると、米国人は2011年時点で、どちらかと言えば中国に好意的だったという(「好意的」42%、「好意的でない」40%)。しかし、2012年以降、好意的でない米国人のほうが多くなった。習氏は2013年に国家主席に就任している。特に2018年以降、中国に対する印象は急激に悪化した。20187月にトランプ政権(当時)は対中追加関税措置を発動し、現在も継続されている(2018年7月9日記事参照)。2021年時点で中国を好意的に捉えている米国人はわずか16%にとどまり、82%は中国に好意的でないと回答した。2020年に感染が拡大した新型コロナウイルスに対する中国の対応に批判的な米国人が多いことも一因と分析されている。さらに、米国人の大多数が中国の人権政策やロシアとの関係を好ましく思っていない。

日本人の中国に対する印象は、2000年代初頭から過去20年間、世界の中で最も否定的な国の1つとして推移してきたとしている。尖閣諸島を巡る問題が深刻化した2013年、中国を好ましく思わない日本人は93%に上った。2020年以降に状況はまた悪化し、2021年時点で中国に好意的な日本人は12%(「好意的でない」87%)にとどまった。

韓国では2017年以降、中国に好意的でない見方が急激に広まったとしている。韓国が2017年に米軍の地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)の配備を決定した後、中国による経済的な報復措置を受けた点を要因の1つに挙げている。その後も、韓国人の中国に対する印象は悪化し、2021年時点で「好意的」と回答したのは19%、「好意的でない」は80%に上る。

この調査は、そのほかの国々における中国に対する印象の推移も取りまとめている。2021年時点の結果を見ると、オーストラリアでは「好意的」が14%、「好意的でない」が86%となっている。同国では2017年から中国による内政への影響を受けるようになり、国民の見方も急激に悪化したとしている。「好意的でない」との見方は、スウェーデン(83%)、オランダ(75%)、カナダ(74%)、ドイツ(74%)、英国(69%)、フランス(68%)、イタリア(64%)、スペイン(63%)などでも広がる一方、ギリシャ(「好意的」44%、「好意的でない」50%)やイスラエル(「好意的」46%、「好意的でない」48%)では、見方の偏りが小さくなっている。

ピュー・リサーチ・センターは、中国を脅威と感じる国々が増えたとしている。習主席が中国の軍事力や経済力を強化したことで、これらが深刻な問題と捉えられるようになった。新型コロナウイルス禍で中国に対する否定的な見方が広がったほか、米国やカナダ、オーストラリア、韓国、日本、欧州諸国では、中国が人権を尊重していないことを問題視する声が過半を占めている。

(片岡一生)

(米国、中国、韓国、日本)

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