IMF、ブラジルの2022年経済成長率見通しを2.8%に上方修正

(ブラジル)

サンパウロ発

2022年10月17日

IMFは10月11日、最新の「世界経済見通し」を発表し、2022年のブラジルの経済成長率(実質GDP伸び率)を2.8%と発表した。直近7月時点の見通しは1.7%(2022年8月1日記事参照)で、1.1ポイント上方修正した。同日付の現地紙「インフォマネー」によると、IMFはブラジル経済が引き続きコモディティー価格上昇に支えられていることを考慮した。

ブラジル経済省は同日、同国の経済成長率見通し(2.8%)が先進国平均(2.4%)を上回り、ドイツ(1.5%)、フランス(2.5%)、日本(1.7%)、米国(1.6%)なども上回ることも強調した。パウロ・ゲデス経済相は「既に契約締結段階に至っているブラジルへの民間投資は今後数年間の経済成長を保証する」と述べた。

10月14日に米国ワシントンで開催された第46回IMF国際通貨金融委員会(IMFC)に備え、経済省は12日付でゲデス経済相のステートメントを公開していた。そこでは、2022年のブラジル経済成長率がIMFの予測も含めて上方修正されたことについて、同国のサービス産業の力強さや、失業率が新型コロナウイルス感染拡大前の水準まで低下していること、民間部門による投資の拡大、クレジット市場などの成長を挙げている。

ブラジルのサービス産業は同国GDPの約6割を占め、2022年第1四半期(1~3月)は前年同期比3.7%増、第2四半期(4~6月)は4.5%増と順調に回復している。ブラジル地理統計院(IBGE)によると、最新の失業率(2022年6~8月期)は8.9%で、2015年6~8月期に8.9%を記録して以来7年ぶりの低水準。民間投資については、9月9日付の現地紙「バロール」は、2019年以降のインフラ応札などで入札された、もしくは契約に至っている案件の総額が9,250億レアル(約25兆8,075億円、1レアル=約27.9円)になっており(2022年)、ゲデス経済相はこの点を民間投資の成果として強調している。クレジット市場の成長については、2022年の民間金融機関から企業や個人へのクレジット残高は前年比で14.2%増になると予測しており、直近予測の11.9%から上方修正している〔中銀インフレレポート(9月)〕。

(古木勇生)

(ブラジル)

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