北米国際自動車ショー、3年ぶり開催、最新EVや空飛ぶクルマ展示するも出展企業は減少

(米国)

ニューヨーク発

2022年10月04日

北米国際自動車ショーが91425日、自動車産業の集積地の米国ミシガン州デトロイトで開催された。主催者はデトロイト自動車販売店協会(DADA)。2020年と2021年は新型コロナウイルスの影響で中止されたため、今回は3年ぶりの開催となった。来場者数は公表されていないが、出展企業数は例年に比べて少なく、初日のメディアデーには、自動車メーカーからデトロイト3〔ゼネラルモーターズ(GM)、フォード、ステランティス〕とトヨタ、スバルのみが参加した。

写真 (左から)GMのシボレー「ブレイザー」「エクイノックス」「シルバラード」。いずれもBEV(ジェトロ撮影)

(左から)GMのシボレー「ブレイザー」「エクイノックス」「シルバラード」。いずれもBEV(ジェトロ撮影)

今回の展示会は米系メーカーによる電気自動車(EV)のアピールの場となった。GMは、シボレーブランドから2023年に販売予定のスポーツ用多目的車(SUV)タイプのバッテリー式EVBEV)「ブレイザー」と「エクイノックス」、ピックアップトラックの「シルバラード」に加え、キャデラックブランドから2024年に販売予定のSUV「リリック」などを目玉に据え、全ブランドにBEVを投入する同社のEV戦略を印象付けた。フォードは、既に販売を開始しているピックアップトラック「ライトニング」のほか、リンカーンブランドのコンセプトカー「スター」を出展。ステランティスは、ジープの「ラングラー」と「グランドチェロキー」のプラグインハイブリッド車(PHEV)を展示した。日系メーカーでは、スバルがBEV「ソルテラ」、トヨタがレクサス初のBEVとなる「RZ450e」を公開した。新興メーカーでは、ローズタウンモーターズがBEVのピックアップトラック「エンデュランス」を発表した。

写真 トヨタ・レクサスのBEV「RZ405e」(ジェトロ撮影)

トヨタ・レクサスのBEV「RZ405e」(ジェトロ撮影)

写真 国立公園をテーマにしたスバルの展示会場。BEV「ソルテラ」(ジェトロ撮影)

国立公園をテーマにしたスバルの展示会場。BEV「ソルテラ」(ジェトロ撮影)

空飛ぶクルマも参入

今回は、自動車メーカーのブースの横で「空飛ぶクルマ」の展示スペースが広く設けられ、注目が集まった。地元デトロイトのエアスペース・エクスペリエンス・テクノロジーズ(ASX)は、地上で翼と車両を分離して移動する「シグマ6」(開発中)を展示。イスラエルのエアは、エアタクシーなどを想定して2024年に販売予定の小型飛行機を発表した。いずれも電気を動力とする垂直離着陸機(eVTOL)で、従来の滑走路が不要なため、限られたスペースでも利用可能だ。道路の渋滞を避け、自動車に代わる日常の乗り物として利用できる点がアピールされていた。カリフォルニア州のアイコン・エアクラフトが発表した、翼の折りたたみが可能な水陸両用の軽飛行機「アイコンA5」も注目を集めた。

写真 翼と車両を分離した状態のASX「シグマ6」(ジェトロ撮影)

翼と車両を分離した状態のASX「シグマ6」(ジェトロ撮影)

主催者の発表データによると、北米国際自動車ショーの来場者数は、新型コロナウイルスのパンデミック前の2019年に前年比で減少し、ニューヨーク国際自動車ショーなど主要な自動車関連展示会でも出展を見送る企業が増えている。一方で、同時期にデトロイト郊外のノバイで開催された「北米バッテリーショー」(91315日)には、例年を超える参加者が来場し、出展企業数も大幅に増加した(2022年9月22日記事参照)。自動車産業が大きく変わる中、人々が求める情報も変化しているようだ。

(大原典子)

(米国)

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