カナダ中銀、政策金利を0.5ポイント引き上げ3.75%に、さらなる利上げも示唆

(カナダ)

トロント発

2022年10月27日

カナダ中央銀行は10月26日、政策金利を0.5ポイント引き上げ、3.75%とすると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。今後の金利について「さらに引き上げる必要があるだろう」と述べ、「金融引き締めが需要減速に及ぼす影響や、供給面の課題における解決状況、インフレとインフレ期待への反応状況について、中銀が行う評価に左右される」とした。利上げは2022年3月以降6会合連続で、市場では、0.75ポイントの利上げが予測されていた。

中銀は声明文で、主にガソリン価格の下落により、9月の消費者物価指数(CPI)上昇率は6月の8.1%から6.9%に低下したものの(2022年10月20日記事参照)、CPI構成要素の3分の2が過去1年間に5%以上上昇するなど、物価上昇圧力は依然として幅広いとして、「短期的なインフレ期待は依然として高く、高インフレが定着するリスクが高まっている」と指摘した。ただ「利上げによる需給バランス調整が進み、世界的なサプライチェーンの混乱による価格圧力が弱まるとともに、過去の商品価格上昇の影響が解消されるにつれて、CPI上昇率は2023年末までに約3%まで低下し、その後2024年末までに目標の2%にまで緩和する」と予想した。

カナダ経済については「住宅建設が大幅に後退し、家計と企業の支出が軟化するなど、金利の影響を受けやすい領域で利上げの影響が顕在化している。また、国際的な需要の減速が輸出に重くのしかかっている。2022年後半から2023年前半にかけて金利上昇の影響が経済全体に及ぶ」とした。こうしたことから、実質GDP成長率は2022年の3.3%から2023年は0.9%に鈍化し、2024年は2.0%と予測している。

今回の中銀発表を受け、モントリオール銀行(BMO)のマネジングディレクター、ベンジャミン・レイツ氏は「中銀はさらなる利上げを明言しており、(声明文での)複数形の『利上げ』という言葉の使用からも、あと1回の利上げでは終わらないことが分かる。中銀はインフレ見通しの変化に応じて金利調整する余地を残しておくだろう。当行では、12月に0.25ポイント、1月に0.25ポイントの利上げ後、最終金利を4.25%とする予想を維持する」とコメントした(BMOエコノファクツ10月26日)。

今後の政策金利発表は、12月7日、2023年1月25日に予定されている。

(飯田洋子)

(カナダ)

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