米NY州でニューヨーク繊維法が成立、州内のファッション・繊維業の投資を後押し

(米国)

ニューヨーク発

2022年10月20日

米国ニューヨーク(NY)州で10月14日、州内の繊維産業の支援を目的とする「ニューヨーク繊維法」が成立し外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますた。州内には900以上のファッション関連企業の本社が点在しており、こうした企業と繊維産業との結びつきを支援する。同州のキャシー・ホークル知事は、9月にファッション関連企業の支援団体であるファッション・イノベーションセンターへの1,000万ドルの拠出を発表しており、ファッション関連業界への支援を矢継ぎ早に進めている。

同法は、具体的には、大部分が州内で栽培・生産された繊維製品および関連製品の購入量枠を公的機関に対して設定するほか、生産および販売に対するマーケティング支援を行っていく内容になっている。また、州内で主に栽培・生産された繊維製品などに対して、多大な努力が認められる農家や繊維加工業者、繊維製造業者および小売業者を表彰するプログラムも創設する。さらに今後、経済貢献や雇用機会の拡大、州内で生産・加工された天然繊維に対する投資や輸出機会の拡大のためのワーキンググループを設ける。

他方で、ファッション業界は、衣服の廃棄など環境に対する負荷が高い産業として知られていることから、NY州では「ファッションの持続可能性と社会的説明責任法案」が議会で審議されている。同法案では、1億ドル以上の収益を上げているファッション企業に対して、全ての生産段階におけるサプライチェーンの開示に加え、そのうちどこで最も環境や強制労働に影響を与えているかの開示を義務付けるほか、パリ協定に準拠するように温室効果ガス排出量を削減する必要があるなど、厳しい規制内容となっている(「ニューヨーク・タイムズ」紙電子版10月3日)。法案が可決されれば、ファッション業界に大きく影響を与えることが予想される。

全米で最大の人口を抱えるNY市では、最近では衣料品販売のジーユー(GU)がソーホー地区に初出店するなど(2022年8月10日記事参照)、ファッション関連の日本企業の間でもNY市に注目が集まっている。支援と規制双方が入り混じる中、今後のNY州・市のファッション関連の立法および行政の動きが引き続き注目される。

(宮野慶太)

(米国)

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