米エネルギー情報局、2021年の天然ガス生産消費年次報告を公表、生産量は過去最高更新

(米国)

ヒューストン発

2022年10月13日

米国エネルギー情報局(EIA)は10月12日、2021年の米国の天然ガス生産・消費量に関する年次報告外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公表した。EIAによると、2021年の天然ガス生産量は日量平均で前年比3.3%増の946億立方フィートとなり、過去最高を更新した。

発表によると、生産量は天然ガス価格の上昇に牽引された。特に、有力生産地のパーミアン盆地とヘインズビル盆地を有するテキサス州で、日量平均で前年(219億立方フィート)比6.4%増の233億立方フィート、アパラチア盆地を有するペンシルベニア州では、前年(193億立方フィート)比6.7%増の206億立方フィートとなった。2021年の両州の天然ガス日量平均生産量は米国の日量平均生産量の半分近い46.4%を占めた。一方、メキシコ湾での天然ガス生産量は、近年の石油・ガス井の老朽化や石油資源開発への傾注、石油・ガス開発の高コスト化などの理由によって減少傾向にあり、2010年に米国の日量平均生産量の9%を占めていたが、2021年にはわずか2%まで減少した。

EIAは米国の天然ガス生産量は2023年にかけて増加を見込んでいる。2022年8月の米国の天然ガス生産量は日量平均976億立方フィートを記録し、2023年12月には日量平均1,005億立方フィートになると予測している(2022年9月20日記事参照)。

米国の天然ガスの輸出は、液化天然ガス(LNG)の輸出に牽引されるかたちで、7年連続で前年を上回り、2021年は日量平均で前年(144億立方フィート)比26.4%増の182億立方フィートだった。輸入は日量平均で前年(70億万立方フィート)比10%増の77億立方フィートで、5年連続で輸出量が輸入量を上回った。2022年に入ってからは、ロシアによるウクライナ侵攻を契機に、ロシアへのエネルギー依存を減らすため、EUを中心に米国の天然ガス確保に向けた動きが加速した影響から、2022年上半期(1~6月)には米国が世界最大のLNG輸出国になった(2022年7月26日記事参照)。ただし、テキサス州のLNG輸出拠点のフリーポートLNGの火災事故の影響を受け、2022年下半期のLNG輸出量は減少すると見込んでいる(2022年7月14日記事参照)。

(沖本憲司)

(米国)

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