米国の天然ガス掘削リグ数、新型コロナ禍前の実績上回る、米エネルギー情報局

(米国、ロシア、EU)

ヒューストン発

2022年09月20日

米国エネルギー情報局(EIA)は9月15日、米国の天然ガス生産者が2020年初めの新型コロナウイルスの国内発生時よりも、多くの掘削リグを稼動させていると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

米国石油サービス大手ベーカー・ヒューズ(本社:テキサス州ヒューストン)によると、米国保健当局が新型コロナウイルスの緊急事態を最初に宣言した2020年1月31日に、国内では112基の天然ガス掘削リグが稼動していたが、同年7月24日には68基と、1987年以来の過去最低を記録した。その後、増加が続き、2022年9月9日には166基稼働しており、上記の緊急事態宣言時の112基よりも54基増加しているという。

EIAによると、8月の米国の天然ガス生産量は日量平均976億立方フィートで、2022~2023年を通して増加すると予測し、2023年12月には日量平均1,005億立方フィートになるとしている。

米国の天然ガス掘削リグ数の増加の大半は、テキサス州とルイジアナ州にまたがるヘインズビル盆地によるものとされている。ヘインズビルのリグ数は2020年1月から2022年8月の間に50%以上増加したという。

ペンシルベニア州とウェストバージニア州にまたがるアパラチア盆地の天然ガス掘削リグ数は、2020年1月31日時点で51基だったが、2022年7月29日時点で48基となり、ほぼ同水準まで回復している。

テキサス州とニューメキシコ州にまたがるパーミアン盆地の天然ガス生産は、大半が油井から生産される随伴ガスとされている。同地域の石油掘削リグ数は2020年1月31日時点の406基を15%下回る水準にとどまっているという。

ロシアによるウクライナ侵攻を契機に、ロシアへのエネルギー依存を減らすため、EUを中心に天然ガス確保に向けた動きが加速している。そうした中、EIAは7月25日、米国が2022年上半期(1~6月)に世界最大の液化天然ガス(LNG)輸出国になったと発表した(2022年7月26日記事参照)。ただし、テキサス州フリーポートLNGの火災事故の影響を受け、2022年下半期のLNG輸出量は減少すると見込んでいる(2022年7月14日記事参照)。

(沖本憲司)

(米国、ロシア、EU)

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