深セン市が外商投資条例を発表、外商投資法を基に一部規定を具体化

(中国)

広州発

2022年10月20日

中国の深セン市人民代表大会常務委員会は9月5日、「深セン経済特区外商投資条例外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」(以下、条例)を公布した。11月1日から施行する。条例は、2020年1月1日に施行された外商投資法(2019年3月20日記事参照)などを上位法として、深セン市の現状を踏まえて、同法の関連規定をより詳細かつ補足するかたちで制定されたもの。

条例で具体化された主な点としては以下のとおり。

  • 先進製造業、新興産業、ハイテク産業、省エネルギー産業など重点発展分野への投資を支援する(12条)。
  • 外商投資企業が同市に地域本部などを設立することを奨励(13条)。
  • 外商投資企業が経営活動に関わる諸手続きを行う際、防疫措置など特殊な事情により書類などを直接提出できない場合は、関係部門がオンラインなどの方法で処理することも可能とする(19条)。
  • 権益保障、とりわけ知的財産権の保護については、市・区の裁判所は外商投資者、外商投資企業の知的財産権に関する財産保全、証拠保全、行為保全(注)の申請を適切に受理・審査し、知的財産権の侵害が深刻な場合、法に基づき懲罰的賠償を適用する(21条)。
  • 苦情の処理については、一般的な苦情の処理期限を20営業日以内、複雑で延期が必要と判断される案件の処理期限を50営業日以内とした(27条)。なお、商務部が2020年8月に公布した外商投資企業苦情処理弁法では、苦情処理期限を60営業日以内、内容が複雑な場合などには同期限を適切に延長することも可と定めており、条例では同期限を大幅に短縮かつ延期する場合の期限も明示したかたちだ。
  • 外国人材の誘致に向けては、国内で資格を必要とする一部の職業に対して、海外の職業資格または国際専門組織による認証を(国内資格に相当するとして)認可する制度の構築を目指す。海外での資格・認証を取得した者が政府主管部門に届け出を行う、または、能力レベルの認定を経るなどにより、資格を必要とする当該業務に従事することができることとする(43条)。

広東謝宏弁護士事務所の謝宏弁護士は、条例の施行と深セン市の外商投資企業に与えうる影響について、「外商投資企業の権益を法的に保護する新たな動きと言えよう。深セン市におけるより開放的かつ公平なビジネス環境の整備に向けた有益な取り組みだ」との見方を示した。

(注)民事訴訟法によると、当事者の一方の行為あるいはその他の原因により、判決の執行が困難となる、または当事者にその他の損害を生じさせるおそれのある場合は、相手方の当事者の申し立てに基づき、当事者が一定の行為を行うことまたは一定の行為を禁ずることを裁定できる。

(梁梓園)

(中国)

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