欧州議会、欧州委案より野心的な代替燃料インフラ整備目標を採択

(EU)

ブリュッセル発

2022年10月20日

欧州議会は1019日、欧州委員会が20217月に提案した代替燃料インフラ規則案(2021年7月16日記事参照)について、議会としての修正案となる「立場」を採択した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。今後、最終合意の成立に向けて議会とEU理事会(閣僚理事会)の間での交渉に入る。

欧州委案では、(1)電気自動車(EV)の登録台数に応じた国別目標の設定(EV1台当たりにつき求められる充電設備の出力は全加盟国一律で設定)、(2)汎欧州運輸ネットワーク(TEN-T)沿いに一定間隔ごとに整備、の2方式を併用して、充電ポイントの設置を加速させるとしている。議会案では、(1)については、加盟国の乗用車の保有台数に占めるEVの割合に基づき目標を設定するとし、その割合が低い国ほどEV1台当たりにつき求められる充電設備の出力を高くすることで、EVの普及が遅れている国により一層の整備を促すものとなった。(2)については、間隔は60キロと欧州委案を支持したが、乗用車およびバン用、大型車用の双方について求められる出力を大幅に引き上げたほか、大型車用のスタンドに設置が求められる充電設備の出力の下限も引き上げた。一方で、過疎地や島しょ部などについては交通事情に基づき、加盟国に設置数について裁量権を与えるといった柔軟性を認めた。

加盟国に対しては、欧州委案と同様に、2024年までに欧州委に整備計画案を提出することを求め、2026年までに初回の進捗報告を、その後は毎年提出し、その内容については「欧州代替燃料観測所」(注)で公開するとして、欧州委案(初回を2027年までに、その後は2年ごとに提出)と比較すると、加盟国の努力を強く促すものとなった。

水素充填(じゅうてん)インフラについては、欧州委案では2031年までにTEN-T沿いに150キロ間隔で整備するとしていたのに対し、2028年までに100キロ間隔で整備と、設置目標を高くした。

また、利用者の利便性の向上のため、すべての充電・充填ポイントで、電子マネーや非接触型決済などを利用可能とするほか、消費者が容易に価格を比較できるように電力1キロワット時(kWh)もしくは水素1キロ当たりの価格を表示することや、消費者に欧州各地の充電ステーションの利用可能性、待ち時間や価格といった情報をまとめて提供できるようにすることも求めた。

自動車業界は「正しい方向」と議会案を歓迎

欧州自動車工業会(ACEA)は同日付声明において、充電、充填インフラの双方について、欧州委案と比較すると、より高い目標を示したとして、議会の修正案を歓迎し、議会とEU理事会間の交渉の結果出される最終案でもその目標レベルが維持されることを期待するとした(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。しかし、より充実したインフラ網の整備には法整備だけでなく民間投資も必要となると指摘し、投資リスクの軽減や、送配電網のバージョンアップを含め、関連する許認可手続きの迅速化などをEUに対して求めた。また、2022年内に発表される予定である大型車の二酸化炭素(CO2)排出基準規則の改正案の策定において、代替燃料インフラ規則案で提示された大型車用インフラ整備目標を考慮に入れるように求めた。

(注)代替燃料の普及状況について情報提供する欧州委のウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

(滝澤祥子)

(EU)

ビジネス短信 2c3e50ab063265ea