新興財閥アダ二とリライアンス、新たな投資計画

(インド)

アーメダバード発

2022年10月05日

インドのグジャラート州を拠点とする新興財閥アダニグループ(2022年1月20日記事参照)のゴータム・アダニ会長は、927日にシンガポールで開催された「フォーブス・グローバル・CEO会議」に参加し、今後10年間で新エネルギー分野とデジタル分野に1,000億ドルの投資を行う予定で、このうち約70%をエネルギー転換に向けた分野に投資する計画だと述べた。同グループは最も安価なグリーン電気、最も安価なグリーン水素の生産者となることを確信しており、インドがゲームチェンジャーとして、やがてエネルギー輸出国になり、これまで前例のない可能性を開くと強調した。

同グループは97日に「2030年までに700億ドルを水素ベースの統合されたバリューチェーンに投資する」という方針の一環として、再生可能エネルギー関連分野で、(1)太陽発電モジュール、(2)風力発電タービン、(3)水素電解装置の3つの大規模工場を新たにインドに設置する計画も発表している。アダニ会長は今回、「シンガポールの約1.4倍の面積に当たる10万ヘクタールに、新たに45ギガワット(GW)分のハイブリッド再生可能エネルギー発電施設を展開する。既存の20GWの再生可能エネルギー発電力を強化する予定で、これは300万トンのグリーン水素の商業化につながるだろう」と述べた。(927日付「エコノミック・タイムズ」紙)

アダニグループは、上場企業の時価総額が2,600億ドルに上るとされる新興財閥だ。グループ傘下の企業は港湾や空港、グリーンエネルギー、セメント、データセンターなどの分野で幅広く事業を手掛け、特に近年、太陽光発電分野では世界最大規模に急成長している。同グループ同様に注目を集めるインドの新興財閥としては、ムケシュ・アンバニ会長率いるリライアンスグループがあり、互いに競合相手としてしのぎを削っている。

リライアンスグループは829日に開催した年次総会で、通信、放送、小売り、新エネルギーなどの各事業の新たな戦略について説明したが、特に今後5年間で7,500億ルピー(約1兆3,500億円、1ルピー=約1.8円)を投じ、中核事業の石油化学分野に注力するとしている。グジャラート州関連では、ダヘジに世界最大級の高純度テレフタル酸(PTA)工場を新設するほか、同地のポリエチレン・テレフタレート(PET)工場への追加投資、ダヘジとジャムナガルにあるポリ塩化ビニール樹脂(PVC)工場の生産能力の3倍増、ハジラにはインド初となる炭素繊維工場を段階的に建設していくなどと、意欲的に事業を計画している。

(古川毅彦)

(インド)

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