自動車の生産・輸出は9月も好調続く、国内販売は3万台維持

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2022年10月31日

アルゼンチン自動車製造業者協会(ADEFA)は10月5日、9月の自動車(トラック、バスを除く)の生産台数および輸出台数を発表した。生産台数は前月比3.4%減、前年同月比19.9%増の5万2,193台、輸出台数は前月比9.0%増、前年同月比40.3%増の3万5,391台だった(添付資料「図1 自動車生産台数の推移」、「図2 自動車輸出台数の推移」参照)。輸出はブラジルと中米向けが引き続き好調で、輸出台数全体を大きく押し上げた(添付資料表参照)。

ADEFAによると、9月は操業日数が前月比で1日少なかったことや、タイヤの供給不足により一部の自動車メーカーが生産を停止した結果、生産台数が前月比で減少したが、生産台数の増加傾向に変わりはない。9月は、タイヤ労働者単一組合(SUTNA)による大規模なストライキで、タイヤの工場が操業を停止した。これについてADEFAは、タイヤの生産会社における労働争議は自動車生産の成長を一時的に減速させたが、政府とともに積極的に介入したことで紛争の解決につながる対話を行うことができ、影響が大きくなる前に生産を正常化することができた、としている。なおSUTNAは左翼的な労働組合で、与党の支持基盤となっているその他の労働組合と異なり、交渉姿勢は強硬的だ。

アルゼンチン自動車販売代理店協会(ACARA)によると、2022年9月の自動車国内販売(新車登録)台数(トラック・バスを含む)は、前月比10.2%減、前年同月比8.5%増の3万3,428台だった(添付資料図3参照)。ACARAは9月の自動車販売台数について、厳しい経済情勢にもかかわらず3万台の販売台数を維持している、と評価した。しかし、完成車輸入は、外貨不足の問題を背景に難しさを増している。特に苦境にあるのが、アルゼンチンで生産していない自動車メーカーの輸入販売会社だ。2022年10月7日付の現地紙「アンビト」電子版によると、数年前は、アルゼンチン自動車正規輸入・販売業者会議所(CIDOA)に加盟する販売会社の市場シェアは5%を占めていたが、現在は1.5%にまで落ち込んでいるという。そのため、販売会社数社は政府に対して、公式外国為替市場ではなく優良スワップ取引と呼ばれる債券取引を通じて外貨を取得し、それをもって完成車を輸入代金に充てることを提案している、と報じている。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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