メルセデス、生産効率化プラットフォームでマイクロソフトと連携

(ドイツ、米国)

ミュンヘン発

2022年10月26日

ドイツ自動車大手メルセデス・ベンツグループ傘下のメルセデス・ベンツは1012日、生産効率化に向けたデータプラットフォームの構築で、米国ソフトウェア大手のマイクロソフトと連携すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

データプラットフォームの名称は「MO360データプラットフォーム」。メルセデス・ベンツが2020年に導入済みの「MO360外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」プラットフォームを進化させる。全世界の約30の工場をマイクロソフトのクラウドでつなぎ、生産とサプライチェーンの「見える化」を目指す。欧州・中東・アフリカ地域では既に使用可能で、今後、米国、中国でも導入する。2022年に発足したベルリンの「メルセデス・ベンツ・デジタル工場キャンパス(Mercedes-Benz Digital Factory Campus)」(20211125日記事参照)が新データプラットフォームの開発、従業員訓練などを担当する。

メルセデス・ベンツは新プラットフォームを活用し、組み立て、工場内物流、サプライチェーン、品質管理を含め、最適な生産工程をデジタルツイン(注)として構築する。これによって、実際に工場を設立する前段階で、最適な生産工程の検討が可能となる。もう1つの特徴が、サプライチェーンの強靭(きょうじん)性と効率性を高める点だ。同社は新データプラットフォームを活用し、生産データを分析・可視化する。これによって、生産工程を早期に最適化し、サプライチェーンの逼迫などをより早く認識できる。同社によると、新データプラットフォームを通じて、乗用車生産を2025年までに2割効率化できる見込みだという。

生産工程における環境データの把握も、新プラットフォームを使い、可能になる。具体的には、二酸化炭素(CO2)排出量、エネルギー・水の消費量、廃棄物マネジメントなどを把握、予測できる。自動車産業全体でも、サプライチェーンの強靭化や効率化、環境関連データの掌握などは重要なテーマとなっている。さらに踏み込んだ、データ共有を進める「カテナ-X」などの動きも進んでいる(2021511日記事参照)。

(注)デジタルツインとは「デジタル上の双子」の意で、物理的なモノと空間をデジタル上に再現し、シミュレーションや管理などを行うための技術。

(クラウディア・フェンデル、高塚一)

(ドイツ、米国)

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