経済活動は今後数カ月鈍化、企業は引き続き景気後退を懸念、米シカゴ連銀ベージュブック
(米国)
シカゴ発
2022年10月26日
米国連邦準備制度理事会(FRB)が10月19日に公表した地区連銀経済報告(ベージュブック)(注1)の中で、米国中西部の一部地域(注2)を管轄するシカゴ連銀は、8月下旬から9月にかけての同地域における経済活動について、全体的にほとんど変化がなかった(little changed)と報告した。多くの関係者が今後数カ月は成長が鈍化すると予想しており、景気後退の可能性について懸念していると報告した。
同地域の経済活動を分野ごとにみると、雇用は緩やかに(moderately)増加し、今後12カ月間は同様のペースで増加することが見込まれる。多くの企業が、引き続き業種やスキルを問わず労働者を確保することが困難と報告している。
個人消費は8月下旬から9月にかけてほとんど変化はなかった(little changed)。自動車以外の消費者支出はわずかに増加し、小売業者は新学期商戦の購買が期待どおりだったと報告している。
企業支出は、全体的にわずかに(slightly)増加した。小売店在庫は全体的に増加しており、小売業者は在庫削減のために発注を減らし、販売促進を強化している。製造業では、部品や材料の入荷待ちで完成品に近い製品を保持していることもあり、在庫は緩やかに増加している。
製造業の需要は、わずかに(slightly)減少した。各社とも、新規受注が伸び悩む中、大量の受注残を消化する動きが見られるとのことだ。自動車生産は引き続き変化がなかったが、大型トラックについては、この分野の供給制約が緩和され、やや持ち直した。
農業分野に関しては、2022年の農業収入の見通しは変化せず(unchanged)、多くの生産者は2022年に黒字となると関係者はみている。同地区の一部は干ばつに見舞われたが、トウモロコシと大豆は今夏の予想よりも良くなるとの報告があった。
地域社会の状況について、地域開発団体と行政機関は、住宅市場に若干の停滞が見られるものの、全体としては堅調なレベルを維持している(remained solid)と報告した。ただし、インフレの影響は、低・中所得世帯、ならびに中小企業にとって引き続き課題となっている。
個々の調査対象項目ごとのポイントは添付資料表参照。
(注1)連邦公開市場委員会(FOMC)の開催に先立ち、年8回公表されており、銀行からの報告や、ビジネス関係者などの声を基にまとめたもの。
(注2)アイオワ、イリノイ北部、インディアナ北部、ウィスコンシン南部、ミシガン南部。
(星野香織)
(米国)
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