ラオス、シンガポールとのクリーン電力協力強化へ

(ラオス、シンガポール)

ビエンチャン発

2022年10月07日

ラオスのダオヴォン・ポンケオ・エネルギー鉱山相とシンガポールのタン・シーレン第二貿易産業相兼人材開発相は9月28日、シンガポールにおいて、エネルギー分野での協力に関する覚書を締結した。ラオスのパンカム・ヴィパヴァン首相とシンガポールのリー・シェンロン首相が調印に立ち会った。

タン第二貿易産業相兼人材開発相は今回の覚書について、「今年6月に始まったラオスからシンガポールへの100メガワット(MW)の電力輸出事業であるラオス・タイ・マレーシア・シンガポール電力統合プロジェクト(LTMS-PIP)(2022年7月4日記事参照)の成功に基づいたもので、地域内の国境を越えた電力取引を促進し、脱炭素化や国内のエネルギー需要の充足を可能にするとともに、供給国の雇用創出と経済成長をもたらす」とコメントした。今回の覚書では、(1)ラオスの代替エネルギー開発、(2)電力ビジネスへの適切な資金アクセス、(3)国境を越えた電力取引への便宜供与、(4)揚水式発電所を含む、風力、太陽光などのグリーンエネルギー開発の可能性調査、(5)LTMS-PIPの期間延長、の5点において協力を進めるとした(パサソン社会経済紙2022年10月3日)。

なお、ラオスから隣国を経由した第三国への電力輸出では、タイを経由してマレーシア向けに、2018年から100MWの送電が開始され、2020年からは300MWの送電が行われている。

ラオスでは発電容量1MW以上の発電所が90カ所稼働しており、うち水力発電所が77カ所、太陽光発電所が8カ所、バイオマス発電所が4カ所、火力発電所が1カ所。

エネルギー鉱山省によると、2021年の総発電量は4万4,949ギガワット時(GWh)、うち水力が3万3,308GWh、火力1万1,489GWh、太陽光が67GWh、バイオが49GWhで、水力が全発電量の74%を占める。

(山田健一郎)

(ラオス、シンガポール)

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