3閣僚が交代、後任決定にキルチネル副大統領は関与せず

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2022年10月28日

アルゼンチンで10月13日、労働・雇用・社会保障相と、社会開発相、女性・ジェンダー・多様性相の閣僚3人が交代した。

労働・雇用・社会保障相には、アルベルト・フェルナンデス政権発足当初から務めていたクラウディオ・モロニ氏に代わって、元ブエノスアイレス市議でアルゼンチン貿易投資銀行(BICE)副総裁のラケル・キスメル・オルモス氏が任命された。社会開発相は、フアン・サバレタ氏に代わり、下院議員のビクトリア・トロサ・パス氏に、女性・ジェンダー・多様性相には、エリザベス・ゴメス・アルコルタ氏の後任として、サン・ルイス州政府出身のアジェレン・マシナ氏が任命された。

2023年10月に大統領選が行われるアルゼンチンでは、フェルナンデス大統領が今回の閣僚3人を自らの決断で任命したことに注目が集まった。これまでは元大統領で現副大統領のクリスティーナ・フェルナンデス・デ・キルチネル氏の影響力が強く、同副大統領が閣僚を選定、または副大統領の承認が必要だとされてきたためだ。

しかし、キスメル・オルモス労働・雇用・社会保障相の任命には、労働組合や社会運動、与党側から早くも不満の声が上がっている。インフレの加速(2022年10月19日記事参照)を受けて賃上げ要求が増す中、労働組合との厳しい交渉には役不足とされている。トロサ・パス社会開発相は、年末に向けた補助金やボーナスの支給を求める社会運動や関連団体との交渉で手腕が問われる(2022年10月11日付現地紙「ラ・ナシオン」)。

2023年には市長・州知事・議会選なども行われるため、これから閣僚らが選挙活動を開始し、フェルナンデス政権でさらなる閣僚交代も予定されている。

フェルナンデス大統領は、ホルヘ・フェラレシ土地開発・住宅相が11月1日に辞任することを自身のツイッターで明らかにしている。同氏は休務中の地元アベジャネーダ市長に復帰し、2023年の市長選挙で再選を狙うため辞任する意向。新たな土地開発・住宅相には、現在の住宅長官サンティアゴ・マジオッティ氏が任命される見込み。

フアン・マンスール官房長官も、2023年のトゥクマン州知事選挙に副知事として立候補するため、12月に官房長官を辞任する予定と報じられている(10月18日付現地紙「クラリン」)。

写真 社会開発省ビル(ジェトロ撮影)

社会開発省ビル(ジェトロ撮影)

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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