米大手鉱業タロン・メタルズ、ノースダコタ州のEV電池材料処理施設建設で助成金獲得

(米国)

シカゴ発

2022年10月27日

米国の大手鉱物探査会社タロン・メタルズ(本社:ミネソタ州)は10月19日、子会社のタロン・ニッケルがノースダコタ州での電気自動車(EV)用バッテリー製造に必要な鉱物処理施設の建設に対して、助成金交付企業に選定されたと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。2021年11月に成立したインフラ投資雇用法に基づく、EVバッテリーの国内生産拡大を目的としたプロジェクトに対する助成金(2022年10月21日記事参照)で、金額は1億1,400万ドル。同社はエネルギー省との最終交渉を経て交付を受ける見込みだ。

ノースダコタ州のダグ・バーガム知事(共和党)は今回の鉱物処理施設の建設計画に関して、「ニッケルをはじめとするバッテリー用鉱物の国内生産を増やし、外国への依存度を下げることで、経済や地域社会、国家安全保障を強化するとともに、ノースダコタ州の米国内での地位向上につなげることができる」と述べた。バーガム知事によると、投資額は4億4,300万ドルに上るという(「スター・トリビューン」10月24日)。

タロンはミネソタ州タマラックにある地下鉱山からニッケルなどを採掘し、原料となる鉱石を鉄道でノースダコタ州の処理施設まで輸送する計画だ。報道によると、同社が鉱物処理施設をミネソタ州の鉱山近辺に建設しない理由の1つには、環境問題や土地を巡る先住民族とのあつれきがあると言われている。バッテリー材料となる鉱物の多くは先住民の土地の近くに賦存しており、バイデン政権が掲げる目標のバッテリー材料となる鉱物の国内調達は環境破壊や先住民の権利侵害を引き起こす可能性があるとの指摘もある。

タロンのトッド・マラン最高渉外責任者、環境戦略チーフは「われわれは、国内でのバッテリー製造に必要な鉱物を生産すると同時に、事業を行う土地の環境と文化資源を保護することを約束する」とした上で、「当社のノースダコタ州の工業用地での鉱物処理計画は、地域社会や部族政府の双方が目的を達成し得るためのもう1つの前向きなステップだ」と述べている。

なお、タロンは2022年1月にEVメーカーのテスラとの間で、商業生産開始後6年間にわたり、7万5,000トンのニッケル精鉱、およびコバルトや鉄などの副産物を供給する契約を締結外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしている。

(星野香織)

(米国)

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