エレクトロニクスや物流など5業種、新型コロナの影響受けて中期目標を改定

(シンガポール)

シンガポール発

2022年10月26日

シンガポール政府は1018日、インダストリー・トランスフォーメンション・アジアパシフィック(ITAP)2022外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」で正式発表した。

政労使代表からなる未来経済委員会は20162017年に、国内の23業種(注)ごとに個別の中期目標を設定し、それぞれのイノベーションや人材育成計画などを盛りこんだITMを発表していた(2017年2月27日記事参照)。同委員会は現在、新型コロナウイルスの流行に伴うサプライチェーンや環境意識の変化など業界全体の構造シフトを受けて、23業種のITM全ての見直しを進めている。今回、改定が発表された5業種は、経済開発庁(EDB)が管轄している。

ヘン副首相は演説で、「製造業の付加価値額が2021年に13.2%拡大し、2022年上半期には5%以上拡大した」と述べ、当初策定したITMが製造業の拡大に寄与したと指摘した。製造業は2021年の同国GDP22%を占める。EDBによると、エレクトロニクス(半導体を含む)、精密エンジニアリング、エネルギー・化学、航空機の4業種は、同国の製造業の生産高3,720億シンガポール・ドル(約39兆円、Sドル、1Sドル=105円)の80%を占める。

今回の改定ITMでは、研究開発(R&D)やデジタライゼーションのさらなる推進策、人材の育成のほか、環境の取り組みも盛り込まれている(5業種の具体的な目標は添付資料参照)。ヘン副首相は今回改定したITMが、製造業の付加価値額を2030年までに50%拡大するとの目標達成に寄与すると述べた。

今回の発表の場となったITAPはドイツの総合産業見本市「ハノーバーメッセ」の関連イベントで、シンガポールで開催されるのは今回で5回目。展示会にはドイツや米国、日本など20カ国・地域から200社・団体以上が出展した。日系企業ではアズビル、NEC、オムロン、横河電機やヤマザキマザックなどが出展したほか、群馬県高崎市がブースを構えた。

(注)23業種は、エレクトロニクス、精密エンジニアリング、エネルギー・化学、航空機、物流、海洋・オフショア、建設、不動産、環境サービス、セキュリティー、航空輸送、海上輸送、陸上輸送、卸売り取引、ヘルスケア、教育、専門サービス、情報通信技術(ICT)・メディア、金融サービス、飲食サービス、小売り、ホテル、食品製造。それぞれのITMについては貿易産業省のサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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