1~7月のGDP成長率はマイナス1.1%、7月は建設業が回復

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2022年09月08日

ロシア経済発展省の発表(831日)によると、7月の実質GDP成長率(推計値)は前年同月比マイナス4.3%(前月より0.6ポイント増)となった。鉱業および農業の伸びと建設需要の増加が下支えした。17月の推計値は、前年同期比マイナス1.1%だった(添付資料表参照)。

7月の鉱工業生産は、前年同月比0.5%減だった。鉱業は、鉱業分野におけるサービスの提供が伸び、0.9%増だった。製造業は、自動車製造業の縮小が影響し、1.1%減となった。建設業は、建物への投資が増加し、6.6%増だった。

貨物輸送は、パイプラインによるガス輸出の減少が続いている。ロシアはウクライナ侵攻以降、パイプラインを通じたブルガリア、デンマーク、フィンランド、オランダ、ポーランドへの供給を停止している。ガスプロムは、ノルドストリーム1を通じた欧州へのガス供給を6月は供給能力の40%、7月は20%にまで削減したが、92日に、主要ガスタービンの問題が解消されるまでノルドストリーム1を介する欧州へのガス供給について再開を見合わせると発表した(ロイター831日、92日)。

ロシア鉄道の発表によると、鉄道輸送量は前年同月比で減少が続くが、6月から減少ペースが鈍化している。主要貨物である石炭および石油製品の減少幅が縮小し始めたため、6月の鉄道輸送量は前年同月比6.5%減、7月は5.5%減、8月は5%減だった。18月の鉄道輸送量は82,050万トン(前年同期比3.4%減)となった(コメルサント91日)。

7月の自動車製造業は、前年同月比58.1%減(前月より4.1ポイント増)だった。多くの外国自動車メーカーは3月初旬から生産停止しているが(2022年8月2日記事参照)、調査会社「アフトスタト」(822日)によると、生産を再開した会社も出始めている。地場最大手アフトワズは約3カ月の間、従業員の勤務日を短縮していたが、815日から通常に戻し、一部の製品の生産を再開した(コメルサント829日)。

小売商品売上高は、前年同月比8.8%減(前月より0.8ポイント増)となった。7月分の実質賃金は未公表だが、6月は3.2%減(同2.9ポイント増)となり、徐々に減少幅が縮小している。

 

連邦国家統計局によると、2022年上半期のGDP成長率は前年同期比マイナス0.4%だった。ロシアの公式GDP統計は、連邦国家統計局が四半期別、年別に発表している。経済発展省は推計値として、月次の成長率を発表している。

(小野塚信)

(ロシア)

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