米国、2021年の平均寿命は2年連続低下の76.1歳、1996年以来の低水準
(米国)
ニューヨーク発
2022年09月02日
米国疾病予防管理センター(CDC)の下部組織である国立衛生統計センター(NCHS)は8月31日、2021年の米国人の平均寿命が76.1歳となり、2020年に比べ0.9歳短くなったとする暫定データを公表した。低下は2年連続で、1996年以来の低水準に落ち込んだ。
低下要因の50%は、新型コロナウイルスによるものだという。不慮の事故が15.9%、心臓病が4.1%と続いた。またNCHSによると、不慮の事故の半分が薬物の過剰摂取によるもの(USニュース8月31日)。医療用麻薬「オピオイド」など薬物の過剰摂取による死亡は、2020年も主な死因の1つで(2022年8月29日記事参照)、この傾向が引き続き表れている。
性別でみると、男性が73.2歳、女性が79.1歳で、前年からそれぞれ1.0歳と0.8歳低下した。男女の平均寿命差は5.9歳で、1996年の6.0歳以来の大きさにまで拡大している。人種別でみると、白人が76.4歳(前年と比べマイナス1.0歳)、黒人が70.8歳(マイナス0.7歳)、アジア系が83.5歳(マイナス0.1歳)、ヒスパニックが77.7歳(マイナス0.2歳)となり、先住民は65.2歳(マイナス1.9歳)だった。黒人や先住民の寿命低下が目立つが(添付資料図参照)、寿命自体もほかに比べて低い傾向にある。
今後の推移の見込みについて、NCHSのロバート・アンダーソン氏は「2022年の死亡率は2020年よりも少し改善しているので、平均寿命は少し延びる可能性がある。しかし、パンデミック前の水準に戻る可能性は低い」と述べている(ロイター8月31日)。
(宮野慶太)
(米国)
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