2022年グローバルユニコーン企業の輩出都市、成都も上位30位内に

(中国)

成都発

2022年09月08日

中国の民間シンクタンクである胡潤研究院は830日、「2022年グローバルユニコーン企業リスト」(注)を発表した。同リストによると、世界におけるユニコーン企業数は1,312社に達している。国別にみると、最も多いのは米国で625社、次いで、中国の312社、インドの68社が続いた。日本は12位の8社だった。都市別ランキングでは、サンフランシスコがトップで、続いてニューヨーク、北京、上海、ロンドンの順となった(添付資料表参照)。

中国においては、ユニコーン企業の最大輩出都市である北京市と上海市に次いで、広東省深セン市が6位、浙江省杭州市が9位、広東省広州市が11位、四川省成都市が25位と続いた。そのうち、初めて上位30都市にランクインした成都はユニコーン企業が9社あり、都市別ランキングで米国のケンブリッジ、オースティン、デンバーと並んだ。成都市は、物流、バイオ医薬、健康・ヘルステックなどの分野の育成に力を入れている。コールドチェーンを手掛ける鮮生活冷鏈物流、バイオテクノロジーの成都威斯克生物医薬、飲料チェーン店を展開する四川書亦餐飲管理、ソフトウエア開発の成都擬合未来科技の4社が今回新たにユニコーン企業リストに加わった。

成都発ユニコーン企業の顔ぶれをみると、最終消費者をターゲットとする企業が多い。成都新潮伝媒集団は、ビッグデータや人工知能(AI)などを活用し、居住、生活エリアでの中間所得層に向けエレベーター内広告の配信事業を展開している。壹玖壹玖酒類平台科技は、ワインや洋酒、白酒などの酒類販売企業で、オンラインとオフラインを融合した販売手法で事業を拡大しており、中国国内500都市に1,991店舗を展開している。また、新規リスト入りした成都擬合未来科技は、アプリケーションのフィットネスミラー「FITURE」を開発し、センサーによる動作確認、ライブレッスン、AI指導、オンラインコミュニティーでの交流などの事業を行っている。一方、新型コロナウイルスワクチン開発を進めているバイオテックユニコーン企業の成都威斯克生物医薬は、オミクロン株に対応したワクチンについて、中国国内と海外において臨床試験を展開、大学や病院の研究室との連携も進めている。

成都市政府は20227月、「成都市ニューエコノミー企業の段階的育成に関する政策措置」を公開した。同市は毎年、ニューエコノミーモデル企業を30社、ニューエコノミー企業予備軍を1,000社以上創出することを目標にしている。企業に対しては、イノベーションの具体的実現への転換、市場開拓、製品・サービスの宣伝、高度人材の確保などの支援を示している。

(注)本リストにおけるユニコーン企業とは、2022630日時点で企業評価額が10億ドル以上、かつ2000年以降に設立された非上場企業を指す。

(王植一)

(中国)

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