フィッチ、ラオスの格付け取り下げを計画
(ラオス)
ビエンチャン発
2022年09月07日
格付け会社のフィッチ・レーティングスは8月30日、ラオスの格付けを30日以内に取り下げる計画を同社のウェブサイトで発表した(注1)。「商業上の理由」とだけ説明している。フィッチは発表時点で、ラオスの長期外貨建て発行体デフォルト格付け(IDR)を「CCC-」、長期現地通貨建てIDRを「CCC」としている。
フィッチは8月4日にラオスの長期外貨建てIDRを「CCC」から「CCC-」に引き下げたばかり。フィッチによると、この引き下げは限られた資金調達手段や、急激なインフレ、現地通貨のキープ安、外貨準備高の低さによる対外債務返済リスクの高まりを反映したものだという。ラオスは対外債務の返済のため、2026年まで年間12~14億ドルの支払いが必要だが、対外資金調達手段が限られている。フィッチは資金調達について、世界的に市場環境が逼迫する中、国際的な債券市場での国債発行は不可能との予測を示した。また、ラオスはIMFに救済を求めておらず、今後数年間の返済額の半分は中国向けなことから、債務救済と融資提供で中国が重要な役割を担うことになると指摘した。
さらに、フィッチは、ラオスの外貨準備高は12億ドル程度で推移してきたが、2022年末には9億ドルに減少すると分析した。同時に、公共および公的債務(注2)の比率は2020年にはGDP比73%だったが、通貨キープ安の進行により、2022年には108%に急上昇したとも分析している。
(注1)フィッチは独自の裁量により、いつでも格付けを撤回または維持する権利を有すると明言している。
(注2)Public and publicly guaranteed debt(PPG debt)。政府や公的機関によって返済が保証された債務。
(山田健一郎)
(ラオス)
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