在モーリシャス日本大使館、現地企業向けに「ポストTICAD8ビジネスセミナー」を開催

(モーリシャス、日本)

ヨハネスブルク発

2022年09月26日

モーリシャスで913日、「ポストTICAD8ビジネスセミナー」が開催された。同セミナーは、TICAD8(アフリカ開発会議)開催報告およびジェトロの活動について説明する場として在モーリシャス日本大使館が主催したもの。現地で活躍するモーリシャス企業から22人が参加したほか、アラン・ガヌー外相も出席した。

ガヌー外相は冒頭あいさつで、TICADで報告された、アフリカに対する日本からの300億ドルの支援(2022年8月29日記事参照)に期待するとした。同相は、モーリシャスがアフリカへのゲートウエーとなるとした上で、アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)(2021年1月7日記事参照)を活用することで、同国への投資や民間連携が促進されるだろうと述べた。

写真 あいさつをするガヌー外相(在モーリシャス日本大使館提供)

あいさつをするガヌー外相(在モーリシャス日本大使館提供)

モーリシャス企業関係者からは、「同国はタックスヘイブンで金融システムが整備されているため、アフリカ投資における金融ハブになり得る」ことのほか、国によっては既に、同国企業がアフリカ域内のネットワークを構築していることから「日本企業がわれわれとうまくアライアンスを組めば、アフリカでのビジネスがしやすくなる」という声が聞かれた。

モーリシャス経済開発総局(EDB)および経済者団体のビジネス・モーリシャスによれば、注目を集めている産業は金融、ICT(情報通信技術)、観光、医療機器・製薬分野だ。特に医療機器・製薬分野で、フランスやインド企業からの投資が既に始まっているという。

なお、モーリシャスでは、アイビーエル(IBL)、シエル(Ciel)、イーエヌエル(ENL)の3つの代表的な財閥が経済を牽引する。この3社は元々、サトウキビの生産や砂糖の製造を生業に成長した財閥だ。そのうち、アイビーエルとシエルの資本が入っている製糖会社アルテオ(Alteo)は、サトウキビのバガス(注)を使った発電を推進しており、循環型生産形態を構築するなどの取り組みが進んでいる。また近年は、インド系財閥のクリムジーグループ(Currimjee Group)も存在感を増している。

新型コロナウイルスの感染拡大により、モーリシャスの2020年のGDP成長率は前年比マイナス15%とアフリカの中でも最大のマイナス成長だった。主要産業の観光業の不振が原因だ。しかし、2021年は、欧州からの観光客が戻ってきたこともあり、3.9%のプラス成長となり、2022年には6.1%のプラス成長となる見通しだ。

(注)サトウキビを収穫、砂糖製造した後に出るサトウキビの残りかすのこと。

(石原圭昭)

(モーリシャス、日本)

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