サウスバウンド取引対象に香港市場上場外国企業を追加へ
(香港)
香港発
2022年09月08日
中国証券監督管理委員会の方星海副主席は9月2日、サウスバウンド取引(以下、「港股通」、注1)において、香港証券取引所(HKEX)にプライマリー上場し(注2)、一定の条件を満たす外国企業を港股通の対象に含めていくとの方針を明らかにした。また、方副主席は、港股通への人民元建て証券取引の組み入れに向けた研究や、香港における中国国債の先物取引の発行についても支持する旨を表明したが、具体的な導入時期に関する言及はなかった。
なお、深セン証券取引所は9月5日、港股通の構成銘柄に、香港証券取引所に上場する英国生命保険大手プルーデンシャルが組み込まれたことを公表した。
香港特別行政区政府の李家超(ジョン・リー)行政長官は、外国企業の株式が港股通の対象となることに関し、「中国本土と香港の金融市場における相互アクセスにおいて重要なマイルストーンだ」と強調。また、李行政長官は「中国本土投資家には、より多くの選択肢を提供することができ、香港での上場を希望するより多くの海外企業を引き寄せることになるだろう」と期待を示した。
陳茂波(ポール・チャン)財務長官は、発表された一連の取り組み方針に関し「リスク管理センター、オフショア人民元ビジネスのハブといった香港の国際金融センターとしての地位を強化するだろう」とコメントした。
港股通は、2014年に開始された。2022年8月時点において、上海証券取引所では388の香港銘柄、深セン証券取引所では545香港銘柄が、中国本土の投資家によって取引されている。
2022/2023年度(2022年4月~2023年3月)の財政予算案では、香港証券先物委員会(SFC)、HKEXと香港金融管理局(HKMA)で構成される作業部会を設置。港股通において人民元建てで香港上場株式を取引できるよう、中国本土の規制当局や関係機関と協議を行うことが公表されている。
香港政府は、人民元建て株式の流動性を増やすため、マーケットメイカーによる株式取引にかかる印紙税の廃止に向けて、2022年内に関連条例の改正案を立法会に提出する予定としている。
(注1)中国本土の投資家が、上海証券取引所または深セン証券取引所を介して香港証券取引所に上場する株式を売買できる制度。
(注2)ある証券取引所を主要取引所として、会社が発行する株式を当該証券取引所に流通させる上場形態。
(松浦広子)
(香港)
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