バイデン米政権、ネオジム磁石輸入の232条調査を完了、追加関税は課さず

(米国)

ニューヨーク発

2022年09月22日

米国商務省産業安全保障局(BIS)は9月21日、1962年通商拡大法232条(以下、232条)に基づき実施していた、ネオジム磁石の輸入が国家安全保障に与える影響に関する調査の報告書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますおよび、バイデン政権としての対応方針のファクトシート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公表した。

本件は、バイデン政権による重要製品のサプライチェーン見直しの一環として、商務省が2021年9月に開始していた調査となる(2021年9月27日記事参照)。232条は、商務省が調査の結果、特定品目の輸入が国家安全保障に脅威を与えると結論付け、大統領も脅威を認定した場合、大統領に対して同品目への追加関税の発動など輸入制限措置を取る権限を与える。トランプ前政権で多用され、現在も鉄鋼・アルミニウム製品に対し、適用除外か数量割当を認められた国以外には追加関税が課されている。

バイデン政権では、今回のネオジム磁石が初となる232条調査だった。ネオジム磁石は、戦闘機やミサイル誘導システムなどの国家安全保障システムのほか、電気自動車や風力発電タービンなどの重要インフラ設備、またパソコンのハードドライブや音声機器、MRI機器にも使われている一方で、米国はその供給の大部分を中国や日本、ドイツ、フィリピンからの輸入に依存している。

BISが公表した調査報告書では、米国のみならず同盟国も、ネオジム磁石の供給を中国からの輸入に依存していることや、米国内でのネオジム磁石の生産能力が不足していること、このような中国への依存状態は中国に政治的影響力を与えることなどを指摘し、ネオジム磁石の現在の輸入量および輸入状況は国家安全保障を損なう恐れがあると結論付けた。一方で、状況を改善する提言においては、輸入に対する追加関税は含まれず、同盟国と連携しての供給源の多様化や共同研究の促進、国内生産に対する税額控除など資金面での民間支援などが挙げられている。バイデン政権としての対応方針をまとめたファクトシートも、報告書の提言に沿った内容となっており、主に次の6点に注力するとしている。(1)国内生産・供給の支援、(2)国内需要の支援、(3)重要鉱物に関する多国間での関与、(4)人材開発、(5)サプライチェーンの脆弱(ぜいじゃく)性を軽減するための研究、(6)バリューチェーンの監視の継続。

(磯部真一)

(米国)

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