79%が「今後も和牛を食べたい」と回答、現地消費者調査アンケート結果

(ブラジル、日本)

サンパウロ発

2022年09月05日

ジェトロは71517日に、日本食品海外プロモーションセンター(JFOODO)の取り組みの一環で、ブラジルにおける日本産和牛の受容性調査を実施した(注1)。

調査の目的は、ブラジルにおける日本産和牛のニーズを定量的に把握するため。ブラジルでは日本産和牛の輸入が2017年に解禁されたが、本格的な輸入が開始されたには2019年(注2)。同年以降、新型コロナ禍を経て2021年に日本からの輸出量は過去最大となった(2022年7月20日記事参照)。

調査では、和牛に関する知識啓発セミナーの実施や、和牛の試食と和牛の受容性を調査するアンケートを実施した。アンケート回答結果の概要は以下のとおり。

今回の調査結果を通じて、ブラジルにおいて、より効果的に市場の拡大を狙うには、高価格帯となる日本産和牛がなぜ高級なのか、消費者だけでなく提供するレストラン側にも認識させることが必要であり、調理方法や食べ方提案を丁寧に伝えることで、より消費が拡大する可能性があることが分かった。

  • 有効回答数の72%は「週2回以上」肉料理を食べると回答。若い世代(1829歳)では40%が「毎日」食べると回答。大きな世代差もなく国民は肉料理を食べる習慣があることがうかがえる。
  • 「日本産和牛を知っているか」との設問に対し、「知っている」と回答したのは、有効回答数の3割程度だが、所得別にすると高所得者層(注3)は50%が「日本産和牛を認識」している。他方、日本産和牛の調理に関しては、75%が「調理したことがない」、調理経験者でも「和牛に関する知識がない」「うまく焼くことができない」などのコメントがあり、和牛の認知度向上には、正しい知識と食べ方提案が重要とみられる。
  • 試食を通じて、有効回答数の78%がブラジル流通牛肉と日本産和牛の「違いを感じた」と回答。5段階評価では、「4」以上が有効回答数の9割を超えた。
  • 有効回答数の79%が「今後も和牛を食べたい」と回答した。そのうち、100グラムの和牛を購入する場合、「100レアル(約2,700円、1レアル=約27円)以上」との回答が、有効回答者の3割となった。なお、所得別では、高所得者層の6割が「100レアル以上を支払う価値がある」と回答した。

(注1)有効回答数は、一般消費者216人。調査は、ブラジル日本都道府県人会連合会(KENREN)が主催する世界最大の日系イベント「第23回日本祭り(フェスティバル・ド・ジャポン)」において、日本産和牛への関心が高い消費者に整理券を配布、来場した参加者にアンケートを実施したもの。

(注2)ブラジルにおける日本産和牛の輸入は2017年に解禁された。解禁後、サンプル品としての輸入は行われてきたが、本格的な日本からの輸出は2019年以降、行われている。

(注3)アンケート調査では、月収入も聞いた。月収が、最低賃金の約20倍以上に相当する23,345レアル以上をA層(高所得者層)と定義した。定義は、ABEP(ブラジル調査企業協会)のデータに基づいている。

(斎藤裕之)

(ブラジル、日本)

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