在宅勤務で米労働者の仕事に対する意欲は低下傾向、米民間調査

(米国)

米州課

2022年09月08日

米国調査会社のギャラップは96日、在宅勤務が若年労働者の仕事に対する意欲低下の一因になっていることなどを示唆する世論調査の結果を公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。本調査は6月に実施され、フルタイムおよびパートタイムの18歳以上の米国労働者15,091人が回答した。

米国では、新型コロナウイルスの感染拡大を機に在宅勤務制度を導入し、現在も継続している企業は多い。ピュー・リサーチ・センターが20222月に発表した調査結果によると、在宅勤務の理由として「新型コロナウイルス感染への不安」が42%だったのに対し、「在宅勤務のほうが好きだから」は76%を占め、2020年調査時点よりもその差は拡大した。ギャラップの調査は、新型コロナウイルスの流行状況にかかわらず、在宅勤務を選ぶ傾向が強まっている中で実施された。

本調査によると、米国労働者の少なくとも50%が、雇用の維持を目的にしながら最低限の仕事にのみ従事する「静かな退職者(quiet quitters)」に該当するという。また、自分に任された仕事のみをこなし、それ以上のことはしないという考え方がソーシャルメディア上で拡散され、状況は悪化する可能性があるとしている。

仕事に熱心な労働者は32%に減少(2021年:34%)する一方、仕事から心が離れている労働者(actively disengaged)は18%(16%)に上昇した。仕事に熱心な労働者は2021年下半期から減少し、中でも管理職の意欲が大きく低下しているという。仕事に対する意欲の低下は「期待(求められること)の明確性」「学習と成長の機会」「大切にされているという実感」「組織の使命や目的とのつながり」と関係しており、雇用者と従業員の結びつきが薄れていることを示唆しているという。また、この上記2つの選択肢に該当しない労働者が「静かな退職者」として定義されている。

在宅勤務を行う35歳未満のZ世代およびミレニアル世代において、仕事に対する意欲と雇用者への満足度が低下している。新型コロナ禍の前後で変化が見られ、本調査はその一因として、若年労働者が上司から大切にされていると実感したり、成長の機会を得たりすることが著しく減少したことを挙げている。仕事に熱心な35歳未満の労働者は2019年から2022年にかけて6ポイント減少し、仕事から心が離れている同労働者は6ポイント増加したという。

ギャラップは、この現状を改善するために、管理職は各チームメンバーと週に1回、1530分の有意義な会話を交わすことを提案している。また、労働者が自分の居場所があると感じられるような企業文化が必要とされていると指摘している。

(片岡一生)

(米国)

ビジネス短信 e29336a5d41f7fea