ジェトロ、ベトナムのスタートアップ投資支援のイベント開催

(ベトナム、日本)

ホーチミン発

2022年09月21日

ジェトロは8月30日、ベトナムのホーチミンで、スタートアップ(SU)との協業や投資に向けたイベント「Japan-Vietnam Open Innovation Round Table」を開催した。ベトナムのSUとの協業や投資に関心のある日本企業関係者がオンラインを含めて90人ほど参加し、情報共有やネットワーク構築を図った。また、現地SUに投資経験のある日系のベンチャーキャピタル(VC)や起業家などが投資の際のポイントや有望企業の発掘方法を紹介した。

SUへの投資の留意点について、日系VCの大和企業投資の奥田潤氏は「通常の上場企業であれば、財務諸表などから利益が出ているかを見るが、SUではきちんとした財務諸表が入手しにくく、利益も出てないことが多いため、売り上げ面の成長率を見る。また、人材を重視しつつ、企業が良いビジョンを持っているかに注目している」と話した。

ベトナムで有望なSUを発掘する方法について、VCからの投資を受ける現地の日本人起業家は、ベトナムでは優良なSUの情報は表に出てこないとし、「現地SUコミュニティーのインナーサークルに入るのが一番よい。SUの創業者と良好な関係を構築し、気軽に会えるような関係を作ると、自然と情報が入ってくる」と述べた。日系VCのジェネシアベンチャーズのホアン・ティ・キム・ズン氏は「ベトナムではフェイスブック(Facebook)やリンクトイン(LinkedIn)などのSNSを積極的に使い、協業や投資を考える日本企業側が自らの情報を発信することも、関係性を構築する上で大切」とコメントした。

今後の成長が見込めて注目する分野について、日系VCのマイナビ・コーポレーションのジョン・マン・ホウン氏は、給与前払いサービスなどのフィンテック、ゲーム関連、エドテックを挙げた。奥田氏は、新たな産業や今後成長する分野にはチャンスがあるとし、「自動車関連サービスのほか、環境、代替食品といった分野にも注目している」と述べた。

なお、ベトナム国家イノベーションセンター(NIC)と地場VCのドゥー・ベンチャーズのレポートによると、2021年のベトナムSUへの投資は、件数が前年比57.1%増の165件、投資金額は同3.2倍の14億4,200万ドルとなり、件数・金額ともに過去最高を記録している(2022年4月28日記事参照)。

写真 イベントの様子(ジェトロ撮影)

イベントの様子(ジェトロ撮影)

(児玉良平、木原花澄)

(ベトナム、日本)

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