一部のガソリン・軽油価格が値上げ、インフレ懸念
(インドネシア)
ジャカルタ発
2022年09月07日
インドネシアのジョコ・ウィドド大統領は9月3日、国営石油会社プルタミナで販売している一部のガソリンと軽油の値上げを発表し、即日実施した(大統領府ウェブサイト)。
値上げ前にプルタミナのガソリンスタンドに並ぶ給油待ちのバイク(ジェトロ撮影)
1リットル当たりの価格は、補助金対象のガソリン(プルタライト、オクタン価90)が7,650ルピア(約73円、1ルピア=約0.0095円)から1万ルピア、補助金対象の軽油(ソーラー)は5,150ルピアから6,800ルピア、補助金対象外のガソリン(プルタマックス、オクタン価92)は1万2,500ルピアから1万4,500ルピアに値上げされた。補助金対象のガソリン・軽油の値上げは、2014年11月以来となる。ジョコ大統領は今回の措置の理由について「価格は据え置きたかったが、世界的に燃料価格が高騰する中で、補助金の予算が当初想定していた152兆ルピアから502兆ルピアまで増加し、財政を圧迫しているため」と説明した。スリ・ムルヤニ財務相は、国際原油価格が1バレル85ドルから100ドルの間で推移すると仮定した場合、燃料価格値上げ後の2022年の補助金総額は591兆ルピアから649兆ルピアに及ぶとした(「CNBCインドネシア」9月4日)。
一方、政府は燃料価格引き上げによる影響を緩和するため、(1)低所得の2,065万世帯を対象に1世帯当たり60万ルピア、計12兆4,000億ルピアの現金給付、(2)1,600万人の労働者向けに毎月60万ルピア、計9兆6,000億ルピアの給付など、総額 24 兆ルピア規模の支援策を用意している(「テンポ」8月30日)。
燃料価格上昇の影響を受け、財務省は2022年末の消費者物価指数(CPI)上昇率を前年同月比6.6~6.8%と予測している(「CNBCインドネシア」9月5日)。なお、インドネシア中央統計局(BPS)は9月1日、8月のCPIが前年同月比で4.69%上昇したと発表している(BPSプレスリリース)。今回の値上げに対し、既に各地で学生などによるデモが行われており、今後も続くことが予想される。
(上野渉)
(インドネシア)
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