2021年の特許出願件数が過去最多、日本が2位

(シンガポール)

シンガポール発

2022年09月13日

シンガポール知的財産庁(IPOS)の最新統計によると、シンガポールの特許出願件数が2021年に1万4,590件と前年比10.0%増加し、過去最多だった。特許出願件数の8割以上が外国企業や機関による申請で、国別で最も多かったのが米国(4,780件)、2位が日本(1,748件)、3位中国(1,578件)だった。

IPOSによると、外国の企業や機関からの特許出願件数で2021年に最も多かったのが、米半導体設計会社クアルコムで、次いで米ウェブ・アプリ開発会社アドバンスド・ニュー・テクノロジー(ANT)、中国のモバイル・アプリ会社アリペイ(杭州)インフォメーション・テクノロジー、韓国の電子商取引クーパン、米半導体製造装置会社アプライド・マテリアルズが続いた。

また、シンガポールの地場企業や機関による特許出願件数は2021年に2,024件だった。国内の特許出願件数で最上位は南洋工科大学(NTU)、次いでシンガポール国立大学(NUS)、科学技術研究庁(Aスター)、人工知能(AI)開発会社センスタイム・インターナショナル、配車アプリのグラブタクシー・ホールディングスが続いた。

さらに、2021年には商標登録件数も5万8,898件と、過去最多になった。外国企業・機関の登録件数では米国(8,741件)が最も多く、2位が中国(6,051件)、3位が日本(4,252件)だった。

知的所有権(IP)の国際ハブを目指すシンガポール

法務省、財務省、貿易産業省とIPOSは2021年4月26日に、知的所有権(IP)取引や管理の国際一大拠点を目指す今後10年の知財戦略「シンガポールIP戦略2030(SIPS2030、注1)」を発表している。同戦略は、2013年に発表した「IPハブ・マスタープラン」に続くもので、IPの取引ハブとしての地位強化や、IPを活用した革新的な企業の誘致、人材育成のための戦略が盛り込まれている。

IPOSは2022年9月6~7日には、同庁が毎年主催する知財国際会議「IPウィーク@SG」を開催した。同庁は同会議で、スタートアップを対象にIP取得に関して必要なアドバイスを行う新たな支援策「IPスタート・プログラム(注2)」の導入を発表している。また、日本の特許庁(JPO)はIPOSと共催で9月7日、同庁がASEANを中心に展開している最新の取り組み、サービスを紹介する実務者対話(ジャパンセッション)も開催した。

(注1)シンガポールIP戦略2030(SIPS2030)の詳細は、IPOSのホームページ(https://www.ipos.gov.sg/manage-ip/singapore-ip-strategy-2030外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を参照。

(注2)IPスタート・プログラムは、特許出願などIPに関する法的な相談を無料で、提携するアクセラレーターを通じて提供するもので、詳細はIPOSのホームページ(https://www.iposinternational.com/en/advisory/ip-start外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)参照。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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